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春日編

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 「疲れた〜」

 私は今日一日の仕事を終えて、帰宅の途についていた。カレンの所で一通り化粧品について教えてもらった後、春日さんと一緒に近くのデパートに行った。
 そこには美成堂の専門店が入っているデパートで、営業というより視察といった感じだった。何も知らない私のために、どんな感じで商品が店頭にならんでいるか、また、お客様がどういったものを求めているか、直接販売員の人たちから聞かせようとしてくれたらしい。
 このデパートのように専門店を出している施設を別にして、私たちは他社と並んで商品を置く店舗に営業に行かなければいけないのだ。一番目立つ場所に商品を置いてもらう為には営業の腕にかかっていると行っても過言じゃない。必死でメモを取り、専門店の様子を簡単に絵に描いて会社へと戻る頃には終業時間近くなっていた。
 家に帰ると、簡単な料理を作って食べながらカレンが貸してくれた本を読んでみる。

「うーん、カレンが教えてくれたファンデーションだけじゃなくって、アイシャドウやアイブロウ、口紅やグロスも本当に色々と細かく作られているのね。勉強になるなあ」

 そう言えば開発部の人たちは本社とは別に開発センターみたいな所で、毎日研究してるって言ってたもんな。ただ綺麗な色を作るだけじゃなくて、お客様のニーズに合わせた商品、またその上を行く商品を作らないと駄目なんだもんね。
 今日一日だけでもとっても勉強になった。後は新製品の内容をしっかり覚えて、明日から春日さんと営業だ!

「頑張るぞー!」

 気合いを入れ、私は明日に期待を寄せた。
 もっと努力して、春日さんと社長に認めてもらって、しっかり結果を出すんだから!



作品名:春日編 作家名:有馬音文