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春日編

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 ***



 私って意外とやるんじゃない!?

「ありがとうございました。よろしくお願いします!」

 取引先との話し合いはなんと大成功を修め、満面の笑顔で頭を下げている。

「秀麗さんからも新製品の営業にこられたんですけど、美成堂さんの方が商品に対する自信と良さが伝わって来ました。全面的にうちでも美成堂さんの新製品を売り出させて頂きます」

 なーんて言われちゃった。ライバル会社の秀麗より一歩先を行ってるって感じ!



 ほくほくで帰社すると、部長に呼び出された。

「よくやった、これでひとまず安心だ」
「ありがとうございます。私もほっとしています」
「お前、今日はもう仕事あがっていいから、春日のマンションに行って必要な物を病院に持って行ってやれ」
「え?」
「あいつの家族は来られないから、お前が代わりに世話をしてやれ。春日がいないとどうも安心できんからな。早く退院してもらわんと」
「お医者さんの話では2、3日入院すれば大丈夫という事だったので、そんなに心配されなくても大丈夫と思いますけど……それに、私春日さんのマンションなんて知りませんし」

 まあ、今日の事を報告には行くつもりだったから様子見て来いならいいけど、春日さんのマンションに行って勝手に荷物持って行けだなんて無理にきまってるじゃない!

「2、3日でも入院は入院だ。病院から入院の手続きをしたいから保険証なども持って来て欲しいと言われている」
「それは分かりますけど、女の私が着替えを持って行くより、男性が行った方がいいんじゃないですか?」

 き、着替えなんてはずかしくて無理! 絶対無理!!

「それに、春日さんもきっと男性の方がいいですよ!」

 必死に訴えるけど、部長はあまり聞いてくれてない。電話が鳴ってそれに出ながら、

「取りあえず一度病院に行ってくれ。――はい、美成堂営業部です」
「そ、そんなぁ」

 周囲を見回してもほとんど人はいなくて、まあ、営業部だから営業回りに出てる人ばっかりだから仕方ないんだけど……。さっきまで一緒に営業に行っていた男性社員も別の会社に出かけていない。

「―――はあ。どうせ春日さんに他の人に行ってもらうからいい。とか言われるんだし、取りあえず病院行こ」

 肩を落とし、私は営業部を後にした。


作品名:春日編 作家名:有馬音文