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就職難民 黙って俺についてこい!

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「ただいまー」

 家に帰り、色々な事が一度に起こった慌ただしい1日だったなぁ、なんて思い返しながら部屋に入ると、見計らったように携帯が鳴った。この着信音はカレンからだ。躊躇いもなく通話ボタンを押すと、聞きなれた声が耳に届いた。

『やっほー! どうだった? 1日目は?』

 想像していた通りの声に、心が安堵の息をつく。

「カレン~~。もう何か圧倒されちゃったよー」

 今日初めて正直な気持ちを吐露する。圧倒されっぱなしっていうか、圧かけられまくりというか……。

『ははは。そうだよね~。ででで、どこの部署に配属になったの? うちじゃないみたいだけど』
「それが候補が3つあって、自分で選べって……。明日には社長に希望を出さなきゃいけないの」
『へぇー。で、どの部署?』
「営業部と写真部と制作部」
『……また個性的なトコね~』

 カレンでもやっぱりそう思うんだ。そうだよね、皆個性的だったもんね……。
 春日さんや市来さん、明月院さんの顔を思い出しながら、私は勢いよくベッドに突っ伏した。
 
「あー、もうどうしようっ!」
『頑張るしかないわね。応援してるっ』
「他人事だと思って~~! あ、でも今日イイ事もあったんだ~」
『へぇ~、なによ?』

 帰りに本屋さんで会った白波瀬さんとのやり取りを思い出し、今度は顔がニヤケて来た。

「んふふ。内緒! でもね、すっごい優しくてカッコイイ人だったなぁ~」
『ちょっと! イイ男の情報ならすぐに吐きなさいっ! うちの社の人間!?』
「今日会った美成堂の社員で優しい男の人なんて一人もいなかったわよ!」
『でしょうね……って、じゃあ誰よ!』
「だから内緒~」
『ケチ~! いいわ、今度じっくり聞き出してあげるから』
「あははは」
 
 何気ない会話だけど、カレンは本当に私の事を心配してくれてるんだな、なんて女同士(?)の友情に熱いものを感じて、顔が自然に和らいでいく。

「ありがとね、カレン」
『ん~? ま、なんかあったらいつでも電話してきなさいよ。会社でもどこでも飛んでってあげるから』
「心強い!」
『腕っぷしも強いし~? なんてね、ははは~。じゃ、また電話するね~』
「うん、おやすみー」

 電話を切ると、色んな事がめまぐるしく起こって昂ぶっていた神経が、すっと落ち着いているのを感じた。カレン効果絶大って感じ。携帯を置いて買ってきたばかりの雑誌に手を伸ばし、どの部署へ行くか真剣に検討を開始する。
 夢じゃないし、ドッキリでもない。私は美成堂の社員として働いて結果を出さなきゃいけないんだ。何でもやるって言った。けど、本当に私に出来る事って何?


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