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まほうのかがみ

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独りの王様と一人の魔法使い




昔々、あるところ。

そんな昔よりもずっと昔。

ちいさなちいさな、国がありました。

それはとても小さな国。地図にものらないような、ちいさな……ちいさな、うつくしい国がありました。

その国は、独りの王様が国を治めていました。



王様はとても賢く、強い王様でした。

けれど、そんなの王様のただ一つの欠点。



それは、王様は人を信じることができないということでした。



その理由は王様が王様になる前の話です。

王様には、たくさんのご兄弟がおられましたが、みんな、王様になるために争い天に召されてしまいました。

王様は、王様になるまでに、たくさん欺かれました。

王様は、王様になるまでに、たくさん裏切られました。

だから王様は、人を信じることができなくなりました。

どれだけ家来がいようとも、どれだけ侍女がいようとも、どれだけ民がいようとも。

王様はいつも独りでした。


そんなある日のことでした。

誰も信じることない王様に家来の誰かが言いました。


「魔法のかがみを、つくってみてはいかがでしょう?」


その一人の魔法使いは人の魔法のかがみを創り出すことで有名でした。

それを家来が進めたのも、人を信じれない王様はなにか問題が起きたとき、どんな罪人候補であっても全て罪人として処刑してしまうからでした。


「魔法のかがみ…それさえあれば、罪なく召される”ざいにん”もいなくなろう」


そんな気持ちから生まれた進言でした。

けれど人を信じれない王様はその家来が謀反を企んでいると疑い、罪人として処刑してしまいました。

そんな日々が続き。しばらくして、王様は考えます。


「ひとを疑うことはつかれる…」


王様は長年の心労でお疲れでした。

誰かに裏切られるのではという恐怖。

本当は罪人でないもの裁いたかもしれないという事実。

王様は疲れておいででした。




そしてある日。お城に一人の魔法使いが呼ばれました。





作品名:まほうのかがみ 作家名:727