まほうのかがみ
それからしばらくして。
あれから王様は魔法使いを探しましたが、その姿はどこにも見当たりませんでした。
王様は魔法のかがみを城のを高い高い塔に移しました。
そして”ざいにん”を裁く以外には決して使わないようになりました。
王様は魔法のかがみを使わずに人と歩み寄る努力をしました。
その過程で王様は時には裏切られました。
時に間違いました。
時にすれ違いました。
それでも、時間をかけてむきあう中で王様はそれを許しました。
それを正しました。
その手をとりあいました。
その結果。
王様には信頼できる臣下ができました。
王さまには愛する妃ができました。
王様には愛しい子供達ができました。
王様は独りではなくなりました。
王さまの部屋には鏡があります。
それは高い塔に飾られた魔法の鏡と全く同じ姿をした鏡です。
けれどもそれは何の魔法もかけられていないただの鏡です。
それでも、王様にとってそれは何よりも価値のある鏡です。
ひとのこころを映さない鏡。
それでも独りぼっちだった王さまを救った。
たった一つの、魔法の鏡でした。