「仮面の町」 第二十話(最終回)
「遅かれ早かれそうなるでしょうね。世間がすべてを知る前に被害者に謝罪し、事実を警察に公表し、自ら引退される事が久能家とあなた自身のためだと考えますが・・・間違っていますか?」
「・・・正しい行為が常に世の中のためになるとは限らないんだ。町の発展のためには目を瞑らないといけないことだってたくさんあるんだ。
天木さんには解らないだろうけど、世の中と言うのはそういうものなんだ」
「話をすりかえないで下さい!それに世の中に悪が必要などという無茶な論理はとても納得がいきません。正しい事の裏側に必要悪が満たされるということはあるのかも知れませんが・・・」
「キミには適わないな・・・負けたよ。しかし羨ましい若者だな。この件が終わったらうちに来て仕事をしてくれないか?それを条件にすべてを話す事にしよう、どうだ?」
「どういうことですか?」
「今花井にいるんだろう?」
「はい」
「じゃあ、千恵子に話してキミをこちらで採用したいと言っておくよ」
「待ってください!ボクが久能不動産に行って何をしろと言われるのですか?」
作品名:「仮面の町」 第二十話(最終回) 作家名:てっしゅう