ひと☆こと~ラヴストーリィ
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淋しいな…私が言った。
寂しいね…彼も言った。
彼とは、仕事場で週に一度か二度、顔を見るだけ。
言葉を交わすことなど、ほとんどない。
私の視線が彼を追っても、彼の視線は返ってこない。
それでも良かった。
なのに……。
彼は部署の異動で違う部屋の住人に。
同じ空間に存在できないことが淋しい、と私は思った。
同じ空気の中 壁くらい大丈夫さ、と彼は思うだろうか。
物理的に会えなくても通じ合えると信じていいの…。
その答えが知りたい。
彼のナニカでいられるなら……
頑張れる……気がする。
だけど……。
私は彼のナニカになれたの…。
何も答えを言わない。
それを彼に尋ねる術と勇気がない私は偶然の出会いを待ち侘びる。
作品名:ひと☆こと~ラヴストーリィ 作家名:甜茶