小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
永山あゆむ
永山あゆむ
novelistID. 33809
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

moonlight(前編)

INDEX|17ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

 黒薔薇の女王は、不機嫌な顔をしている。
「……早くしな。みんな、ネオを待っているから」
「え!?」
「今日は、演劇部が休みだから、昼からやろうって言ったのはどこのどいつだよ?」
 ゴゴゴゴゴ、と揺れるのを感じる。
 え? ちょっと待って! とネオは速攻で昨日のことを頭の中でふりかえる。
 ええっと、夏休みに市内の音楽ホールでやる、『アマチュア・ロック・フェスティバルin IWAKUNI』の音合わせをするのは良いとして、昨日、活動前に演劇部の部長から「明日、休みだから、昼から使っていいよ♪」って言われて……、昼からやれる! いっぱい練習できる! うれしいーっ! と昨日、大はしゃぎしていたよ……ね。
 ――ははははは。「責任」の重みを感じ取ったばっかりだったのに。
 ネオの額から冷や汗が垂れる。
「あは、はははは、……ごめんなさい」
 従順している僕のようにペコッ、と謝る。
「まったく。話に夢中になりすぎだ。見ろ!」
「あ……」
 辺りを見回すと、教室にいるのはネオと実緒だけで、がらんとしている。
 実緒も罪悪感を感じたのか、席から立ち上がって、
「ご、ごめんなさい! 気づいていたけど、ネオちゃんがあまりにも楽しそうに話すから」
 と謝る。
「いや、謝らなくてもいいよ。悪いのは、迷惑ばっかりかける、こんの『人でなし』、だから」
「は、はぁ……」
 未知流はつっつくように、『人でなし』に向かって指を差す。
 ネオは急いで、実緒の足元にある自分の鞄をせっせと持ち上げた。

「じゃあね、実緒!」
 ネオは学校指定の革靴に履きかえ、下駄箱と下駄箱の間から見える実緒に手を振る。
「うん……また明日……」
 実緒も微笑みながら手を振る。
 にっこりと笑っているその顔から、どことなく寂しそうな雰囲気を、ネオは感じた。
 ネオはすたすたと廊下を歩く彼女に目を疑った。
「……」
「ネオ?」
作品名:moonlight(前編) 作家名:永山あゆむ