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三弥が首をかしげていると、廉冶が自分の股間を指す。
「そ、そんな事をするのか!?」
すると廉冶がまた笑いだす。
ガキの頃って言っただろうが、ほんと馬鹿、などと思いつつ。そしてふと思い付いて片手を伸ばして三弥の肩に手を下ろす。
「ん?何?」
「そうだなー今ならあれだな、親愛の気持ちをあらわすのに、こやって抱きしめたり、とか?」
そう言いながら肩に置いた片手で三弥を引き寄せ、その手を背中にまわした。
普通ならここで冗談だと分かって、ふざけるなよなどと笑いながら、もしくはどん引きでもしながら自分から廉冶を引き離すものなのだろうが。
三弥はされるがままであった。「そうなんだ?」などと言いながら。
あーほんとコイツってば面白い。馬鹿可愛いというか。
廉冶はまた笑いをこらえながら思った。だがその時ふと、三弥の髪の香りだろうか、ふんわりと流れてきた匂いに不覚にもドキリとする自分に気付き、回していた手を下して三弥から黙って離れた。
三弥は相変わらず不思議そうな顔をしながら廉冶を見ていた。