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そう言って有紀も教室から出ていった。亜希が残った2人に言った。
「なー男ばっかだけど今から買い物行かね?俺タオル買いに行きたいんだよねー」
「は?タオル?なんでまた」
「え、だってもうすぐ球技大会だろ?」
「それがどう関係あるんだ……?」
「男もやっぱおしゃれでないとダメじゃんー。おしゃれは小物からだよ。例え球技大会であっても油断大敵ー」
「「…………。勝手に行け」」
「んだよ、こういう時だけ妙に息ぴったりにならなくてもいいじゃんー。え、マジ行かねぇの?」
「メンドクサイ」
「俺はこの後生徒会行くから」
「……陸斗は仕方ないにしても、レンジの理由なんだよー。これがミヤちゃんなら絶対一緒に行くくせにー!」
「……」
「何言ってんだよバーカ、行くならさっさと行ってこい」
「もー。いいよ分かった。じゃあ女の子誘って行くもんねー」
「……それは良いが、彼女じゃないなら妙なコト、すんなよ?」
「リク相変わらずお母さん!分かってるよー俺、これでも紳士だよ?」
そう言いながら亜希は携帯を取り出し誰かにメールし出した。すると返事がすぐ返ってきたらしく、「じゃあ行ってくるー」と手を振りながら教室を出て行った。
廉冶が座っていた席で頬杖をつきながら言った。
「俺来たばっかなのにどんどん皆居なくなるじゃない。寂し」
「お前が来んの遅いからだよ。まあ友達と仲が良いのは良い事だけど?」
「……んだよ?」
「いや?……なあ、レンジ。立ち入るような質問で悪いが」
「何」
「お前、琴菜とどこまでいってんだ?」
「…………どこにもいってねぇ」
廉冶の答えを聞いて、陸斗は少し驚いたように廉冶を見た。
「あのお前が?そういう意味だろ?」
「あ?ああ、ていうか、あのお前がってのはどういう意味だよ」
「付き合う子、片っぱしから速攻手、出してたろ?」
「あーそりゃあ……。……だけどコトはお前の妹だからな。いくら俺でもそう簡単に扱う訳、ないだろうが」
「そう、か。……まあ琴菜が無理言って付き合ってもらったようなもんだもんな」
「いやまぁ、無理じゃねえけど……。コトは可愛いよ。俺も好きだ」
「……そうか。ああ、あと、な?」
「なんだ」
「あんまり、深入り、するなよ?」
「は?コトと、か?」
「いや……。保志乃」
「………………ああ。……て、何言ってんだよお母さん」
「……お父さんは何気に鈍感だからねぇ」
「………………誰がお父さんだ」
「それはそっくりそのまま返してやんよ」