「レイコの青春」 1~3
コーヒーを運んできた幸子が、
レイコの真向かいに腰をおろしました。
「さぁて、
来てくれて本当にありがとう。
話したいことは、いっぱいあるんだけど・・・
まずは、なにから話そうか。」
そう幸子が言いかけた矢先に、
一人の女の子が、布団から立ちあがりました。
ぼんやりとした眼差しのままで、誰かを探すそぶりを見せています。
「あら、チイちゃんの、オシッコの時間だ。
ごめんね、少し待ってて、
この子、決まった時間にしっかりと起きる子なの。
偉いねぁ、チイちゃん、
さァ、お姉さんと行こうね。」
幸子に抱っこをされた、チイちゃんが、
眠そうな目をしたままに、ぼんやりとレイコを見つめています。
(誰ぇ、この人・・・)
(何さ、この子は。邪魔者でも見るような目をしているわねぇ。
それにしてもいったいなんなのさ、此処は。
聞いたことが無いわよ、3歳未満みたいな子供たちがたくさんいて、
しかも、夕方から子供たちを預かるなんて、
いったい何がどうなっているんだろう・・・・
乳幼児保育なんて、都会だけの話かとおもっていたのに、
こんな田舎でも実在するんだ、へぇ~
ところでなんの用件だっけ、
突然ここへ来たわけは、私が今此処に座っている訳は・・・)
ぽつりと呟きながら、
幸子の背中と、チイちゃんを見送っている思案顔のレイコです。
4へつづく
作品名:「レイコの青春」 1~3 作家名:落合順平