俺とみこの日常 10話
「さて、来たはいいけどどう起こす?さっき起こそうとしたけど駄目でさ」
「どんな方法で起こしたんですか?」
えっと、
「『ズボン脱がすぞ』と『服脱がすぞ』」
「…変態オヤジですか」
あきれられている。…なんかもう慣れたな。慣れちゃ駄目なんだろうけど。
「方法が悪いんですよ、そんなんじゃ起きませんって」
「お、言うねえ。んじゃ、どんな方法?」
「少しは自分で考えてください」
うーん、みこが起きる方法ねぇ。あ。
「『優美ちゃんが来た!』とか?」
「はぁ」
ため息はかれた。折角一生懸命考えたのに。
「全く、他に色々あるでしょ…あ、そうだ。キスしてみてください」
「え?」
何を言ってるんだこの子は。
「キスしてみて?」
「…一応聞こうか。誰に?」
「はぁ。みこに決まってるでしょ」
またため息だよ。っていうか決まってるって…それもそうか。
「で、でも…みこに悪いんじゃ…」
「はぁ?この前の私の話を聞いてたんですか?」
あれ?なんかまりちゃんが怖い。なんでだろう。
「…はい。聞いてました」
そのせいもあってか、なぜか敬語になる俺。…全く悲しくなるぜ、ジョニー。
アメリカンジョーク風に思ってみるも、誰にも通じない。当たり前だ、みこ以外には通じない。
「じゃあなんでそんなこと聞くの?」
「…一応…」
「でも答え分かってたんでしょ?」
「…はい」
やばい、いつまで続くんだこの説教。…アレ?俺、みこにも説教受けた事がある(一カ月に一回以上は受けてる)から、残りは優美ちゃんだけ?…あ、美菜子ちゃんもか。……コンプリートしたくねえな。
「…うーん…」
みこはそう唸りながら、上体を起こす。
あ、起きた。よかった、助かった。
「…あれ?なんでまりちゃんが?」
辺りを見渡していて、疑問に思ったんだろう。
「ああ、宿題がまだ終わってないみたいでな」
「え?」
「それで手伝って欲しいってさ」
みこがこちらをジト目で見てくる。起こした(起こそうとした)本位が分かったらしい。
「…まさか?」
「はい、その通りです、みこさん。あなたのお力をぜひ!」
「そーくん」
なんだろうか。怖い。
「手伝ってください」
っていうか、なんで俺が頼んでるんだろうか。こういうのは大体、依頼主であるはずのまりちゃんが頼むものじゃ…。
「私からもお願いします!」
「あれ?君の宿題だよね?」
作品名:俺とみこの日常 10話 作家名:ざぶ