「仮面の町」 第十八話
「私の家族を巻き込むな!事故の話しとは無関係だろう」
「あなたはこの町の代表者みたいな存在だ。自分の行いは全て透明にしなければならないほどの義務がある。家族には関係のない話ではありませんよ。
ボクや一般の人とは違うんですよ」
「全ては深谷のミスだったんだ・・・」
肇は若い天木に家族の話を出され、久能家の歴史を聞かされ少し動揺した。父親から受け継いだ自分には大きすぎる「暖簾」をいつも守ることに苦悩さえ感じていたからだ。
自分の苗字は久能ではなく「苦悩」なんだと思わされる事も良くあった。何かといえば父親義一郎の名前が出る・・・
そして祖父の名前と久能家の歴史が語られる。自分は肇だし、戦後35年以上が経過してこれから時代は大きく変わろうとしている中で、過去の在り来たりな考えやしきたりに束縛されてはいけないと奔放にやって来た。
無理難題も押し付けていた。結果的に権力との癒着は町の発展のためと会社や家族、そして自分のためと言い聞かせていた。
作品名:「仮面の町」 第十八話 作家名:てっしゅう