「仮面の町」 第十八話
「そう・・・キミが通報者の青年だったのか。今日来たのは何故だ?私をゆすりに来たのか?」
「バカな事聞かないで下さい!花井建設の名前まで出しているんですよ、そんな奴に見えますか?」
「失礼・・・言い過ぎたかな、じゃあ用件はなんだ?」
「はっきりと申し上げますが、深谷さんが亡くなってあなたには事故を起こした責任が、かからなくなってしまいました。つまり黙っていれば何も知られないと言う事態になったのです。
そしてこともあろうかこの事故については署内では極秘にされていて誰にも知られずに過ぎてしまうことになっているのです」
「天木さんは事故の何を見たと仰るのかな?聞いていると私が非道な扱いをしているように感じられるのだが、もしそうだとしてどうしたいと考えているのか聞かせて欲しい」
「自首なさってください。被害者の遺族に本当のことを話して謝罪してください。深谷さんに責任を押し付けて自分は知らないという態度は境川市の久能さんがやってはいけないことだと思います」
「境川市の久能か、うれしいことを言ってくれるね。確かに深谷くんが起こした事故の責任が私にまったく無いのかといえば雇用主として否定は出来ないな。
しかし天木さんの言い分には不確かな部分があるんじゃないか?そもそも事故はどうして起こったのか?と言うことと、責任の所在だよ。
警察がまったく知らないということは考えられないから教えてもらったらどうなんだ?」
「調べはついています。あやふやなことでここに来たりはしませんから」
作品名:「仮面の町」 第十八話 作家名:てっしゅう