漢字一文字の旅 二巻 第一章より
一の六 【律】
【律】、その右部は「筆」の意味とか。
その「筆」を立てて、建物の配置を一律に公布する意味を示すらしい。
そこから「おきて、さだめ」の意味になったようだ。
規則正しく繰り返される運動を「律動」という。
それは「リズム」(rhythm)だ。
そんな【律】、生体にもある。
それは『バイオリズム』だ。
身体(Physical)、感情(Sensitivity)、知性(Intellectual)の三種類のリズムで構成されている。
誕生日を基準として、身体リズムは(P)23日、感情リズムは(S)28日、知性リズムは(I)33日の周期をもって、絶頂がやってくるとか。
この23と28と33の最小公倍数が──21、252日。
つまり一生の中で、バイオリズムの最絶頂は──58.2歳の時だ。
だが、己の身を振り返ってみれば、ぱっと花が咲いた憶えがない。
ただ転勤辞令をもらったような気がする。あれが身体/感情/知性の絶頂だったのだろうか?
しかし、二つのリズムが出そろうことは500日に1回くらいあるようだ。
PS、SI、PIの組み合わせがあるらしいが、それぞれ微妙に違うとか。
だが、これも実感がない。
こういうのを「リズム音痴」というそうな。
とにかく【律】という漢字、「律儀」にこんなことを悩ませてくれる。
作品名:漢字一文字の旅 二巻 第一章より 作家名:鮎風 遊