怪談より怖い階段
怪談より怖い階段
凄い階段がある
数えきれない段数の階段が
高く高くずっとずっと続いている
見上げていると首が痛くなる
上の方は雲にかくれて見えない
一番上は雲の上らしい
一段登るとその下の
既に登った階段は消えてしまう
登らなければ墜落することになりそうだ
立ち止まることは許されない
下りることもできない
登りだけの階段を
登り始めてしまったようだ
段差の大きな凄い角度のところもあれば
ゆるやかにのんびりと登れるところもある
まっすぐのところと曲がりくねったところ
温暖で穏やかな日和もあれば
身を切る木枯らしや嵐の日もあった
これは人生という名の階段
出会いもあれば別離もある
誰かと手を取り合い
共に登った記憶もあるような……
分かれ道になればどちらかを
選択することになる
後戻りはできないから
ひたすら登り続けるしかない
どんどん登って行くうちに
いつかは雲の上に出るのだろう
雲の上まで辿りついたとき……
了