ウロボロスの脳内麻薬 第一章 『首吊り御伽草子』
するとハッカは自身よりも目線が低くなった儚の頭に手を置くと、クシャっと髪をつかむように撫でた。
「じゃーな、耳年増さん」
そう言って少年は教室を出ていった。
部屋に残ったのは人形のように固まった女子高生の孤影が。
耳と頬は朱に染まり、呼吸も時間も忘れて男の子が触れてくれた髪の毛に意識を集中させていた。
そうしてその感覚を確かめるように、おもむろに両手を頭にのせる。
「────────────ミミドシマって、なに?」
意味はまるでわからないのに、嬉しさばかりが込み上げた。
作品名:ウロボロスの脳内麻薬 第一章 『首吊り御伽草子』 作家名:山本ペチカ