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アラクノフォビア

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アラクノフォビア

 私には小さなころから好きな人がいます。何年も一途に思い続けた、純愛なのです。きっと珍しくもないことなのですが、ちょっとだけ普通と違うことは、私が好きになったのが女の子で、つまり同性。禁断の愛、です。うふふ、ちょっとかっこつけてみました。
 こういうことは思春期によくある勘違いだとか、大人はそう言いますが、知ったことじゃありません。ただ、私には好きな人がいるという事実だけが真実なのです。
 ところで、私はクモが嫌いです。足が八本、糸で巣を作りエサを絡め獲る、節足動物門鋏角亜門クモ綱クモ目の、クモです。昔から、それこそさっきの好きな女の子と同じくらい昔から、クモが嫌いなのです。
 クモが嫌いなのは別に不思議なことではないと思います。だって、私の友達には虫が嫌いな子なんていっぱいいるのですから。
 でも、私はほかの人と違って、クモがただ嫌いなだけではありません。
私はクモに嫉妬しているのです。

昔、といっても私が小学校一年生のころですが、ある日私は一人で町を散歩していたのです。
小学生になった私は毎日が楽しくて仕方なく、もう何も恐れるものなどないほど浮かれていました。
その日はとても天気が良くて、それ以上に私は晴れがましい気持ちで歩き回ったのです。そして、普段はあまり近づかない、古くからある住宅地の、雑木林にまで足を伸ばしていました。
けして高くはない、山の裾野に広がるそこは、奥に行けば行くほど鬱蒼としていて、お日様の日差しが差し込まなくなるのです。とっても不気味です。
それでも、当時の私は何を思ったのか雑木林へと意気揚々、侵入したのです。

作品名:アラクノフォビア 作家名:硝子匣