「仮面の町」 第十七話
「もしもし、天木といいます。警部居られますか?」
「はい、少々お待ち下さい。あなた!電話ですよ、天木さんと言う方から・・・」
「弘一くん、おめでとう。挨拶が遅れたね、今年も宜しくな」
「こちらこそ、よろしくお願いします。早速なんですが・・・近々お話ししていましたように久能不動産を訪ねて行こうと思っているんです。
電話をして取り上げてもらえないといけないから、直接行って会える約束だけして帰ってくるつもりです」
「そうか・・・決めたのか。気をつけて事を運んでくれよ」
「はい、ありがとうございます。周りに応援者も出来ましたし・・・頑張れそうです」
「そうか、誰なんだい?」
「ええ、優子の・・・あっ、彼女の父親です」
「話したのか?」
「はい、お父さんになる人ですからきちんとやっていることは話そうと思いました」
「結婚するのか?もう」
「子供が出来たんです、お恥ずかしいですが」
「やるな!出来ちゃった婚ってやつか?」
「結果的にはそうですね。なんか父親になるのかと思うとパワーが出てきたんですよ。生まれてくる子供のために恥ずかしくないようにやらないといけないって・・・そう思うようになりました」
「相変わらずすごいなあ、弘一くんは・・・もう二十歳になったのかい?」
「来年ですよ、成人式は」
作品名:「仮面の町」 第十七話 作家名:てっしゅう