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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十二回・弐】ハリスのハリセン

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ミーンミーンミーン…

「…誰コレ」
ちみっ子竜の一人を片手に矜羯羅がそれを見下ろした
そしてしゃがみ半分口のあいたその間抜けな面をツンツンと突付く
「あーそれね、放っといていいっぽいよー」
シャクシャクとカキ氷にシロップを絡ませて南が矜羯羅に言った
その南の後ろでは
「ぅおりゃぁああぁぁぁあぁあああああああ!!!!!!!!!!」

ジャコジャコジャコジャコジャコジャコジャコジャコ

気合の入った掛け声とともに取っ手を回す坂田
そして頭を抱えて隅っこでうずくまる制多迦のその頭をぺちぺちとたたいているちみっ子竜二号
京助たちの姿はない
「…いつまでここにおいておくの…? 邪魔なんだけど」
チリーンと風鈴が鳴る
「しょうがないじゃん; 彼だって一般の人間だもんさー…動くしかも話すヒマワリみちゃったら…普通はこうなるモンだよねぇ…」
赤いシロップが十分に染み渡った氷を口に運んだ南が半分苦笑いで縁側に横たわっているハリスに目をやった
「日本の視察とかいって勝手についてきたのソイツなんだから放っとけ放っとけ」
山盛りに削られた氷に坂田は青いシロップをかけた
ペタペタと廊下を誰かがはだしで歩く音が聞こえ戸口に一番近かった南が体をよじって廊下の方を見ると
「あららんコロちゃ…ん?」
やってきたのは慧光
南が慧光に声をかけたが慧光はその声には反応せずまっすぐ足を進めて隅っこで相も変わらず頭を抱えてうずくまっている制多迦に近づいた

カチャン…

その際制多迦の近くに置いてあった空になったカキ氷の入ってたと思われる容器に足がぶつかり容器が倒れた
が、いつのもの片付け魔の慧光であるなら瞬時に拾い上げるであろう容器をそのままに制多迦の近くで足を折り座った
「…慧光?」
その場から数メートル先縁側にいた矜羯羅がいつもの慧光ではないことに気づいたのかハリスをまたいでその場に近づく
「コロ助…? カキ氷食いたいのか?」
スプーンをくわえた坂田が慧光に聞くがやはり反応は返ってこない
「…慧光」
膝を立て慧光の肩にそっと手を置いた矜羯羅が慧光を呼ぶと慧光の目つきの悪い目から一筋涙が流れた
「…慧喜は…」
慧光の震える唇が慧喜の名前を吐き出した