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天然優等生vsツンデレ優等生

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Episode1



「じゃあ今日の授業はここまで」

日直の掛け声で目が覚めて席を立つ。一礼してまた席に着く。

俺は今目の前で教壇に立つ彼、古文教師 渡里敬(ワタリケイ) 32歳 独身が嫌いだ。
何故かって、その理由は…

「センセー質問〜」
「おう、なんだー」
1,誰にでも優しい。
「あ、敬ちゃんハヨッス」
「島田、もう夕方だ」
2,そして優等生、ヤンキー、その他諸々、どんな奴にも何故か人気がある。
「こーら、渡里先生、だろ!島田は話があるから進路相談室に来い。それでは渡里先生、島田ちょっとばかし借りますね」
「ざけんなっ 敬ちゃん助けて〜」
3,同職の先生方からも信頼は厚いと見える。

こんな欠点無しの優等生教師には必ず裏があるはずだ。
と、日々ヤツの顔を見るたび疑いは濃くなるばかりである俺は、少々疑心暗鬼だと言われればそれは無きにしも非ずと言える。
しかーし、俺はとうとうおさえてしまったのだった。
奴、渡里敬が仮面優等生教師であったという決定的な証拠を!

時は昨日の放課後にさかのぼる。―――――

奴の惰眠を貪るにうってつけな授業が終わり、いつも通り足早に教室を出た。
おそらく俺の教室での立ち位置は「寡黙な転校生」で通っているはずだ。
転校してもうすぐ3か月、ろくに友人作りに徹せずに今までやり過ごしてきた。
生憎内気で恥ずかしがりやだとか、そんな純真な心は持ち合わせていない。
単に人付き合いが面倒なだけだ。
「凛、もう帰るのか」
「修平。うん」
「そっか。俺は部活だし…あ、そうだ。この前借りたゲーム返しに行っていいか?」
「今晩?別に、起きてりゃいいけど」
「そっか。じゃあまたな」
俺の頭をワシャワシャと撫でる…というよりはかき乱すと、修平は階段を上っていった。
村木修平。は、前の中学から一緒だった奴で、彼が転校した後に偶然にも俺が追いかけるようにこの学校に転校してきた。
さらに俺は転校して3か月、友人がいなく暗い印象であったから、修平と話しているのは大変目立つ…らしい。前の学校でも修平しか友人と呼べる友人がいなく、故意に修平の後を追っかけてこちらに転校してきたのではないか…との噂が流れていることを修平から笑い話として聞かされた。

あ、ちなみに最後の頭を掻き乱す行為は修平の癖だ。
そして部活動は転校したと同時に決めておくよう担任に言われているが、考え中、という返事でどの程度帰宅部でいられるか実験中である。

ガチャ――――「は…」
もう一度閉めて学籍番号を確認するがやはり自分の下駄箱に何者かからの手紙が置かれている。
いやがらせか、『死ね』ってやつか、と時代錯誤な手法に多少の興味を持ちながら封を開ける。
―――放課後、屋上にて待つ―――
少し噴き出す。今夜修平に話して笑かそう。
そして俺は踵を返し階段を上る。
どんな奴が悠長にもワードでこれをタイピングしたのか、好奇心を捨てられなかった。
喧嘩は弱いだろうし(したことない為不明)タイマンとも限らないから、こっそり顔だけ拝んで帰ろう。


「あれ」
屋上にいたのは古文教師の渡里敬だった。
先に渡里に見つかって撤収したのか。
つまらない。ったく相変わらず俺の空気を読まない男だ。

「先生」
「お、り…っ!えと…桜井、きたか」
「…?はい」 何慌ててんだ?
まあいいや。とにかくあの時代錯誤君が誰だったのかを聞いて、ささっと帰りますか。
「あの、誰だったんですか?」
「ん?」
「いや、生徒。俺それだけわかればいいですから」
「…セイト?」
「?」
「?」

おいおい、なにか?まさか通じてないのか?
「だから俺を呼び出した生徒ですよ!先生が追い払ったんでしょ」
「なぬぅあっ!?」
「は!?」
なんだなんだこいつ、変な声出しやがって大丈夫か?

「あ、ごめん。桜井を呼び出したのは、俺だ」

「・・・・・・はい?」
「あ、ごめん。桜井を呼び出したのは、俺だ」
「・・・・・・・・・」