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 私達は窓を開いて外を見ている秀一君を見ていた。
 すると誰もいなかった私達の後ろに三葉さんが現れた。
「ふぃ〜、やっぱ人の夢の中に入るのって骨が折れるぜ」
「お疲れサイモン」
 兄貴が手を出すと三葉さんは兄貴の手を叩いた。
 三葉さん達レイス星人も自由に変身できるらしい、だけど三葉さんの場合は不破さんや大神さんと違い肉体と言う物無い思念だけの生命体で、その星の生命体や物質の姿を借りて変身すると言う、
 さらに相手の脳波や波長に合わせて心の中を読み取ったり効して夢の中に入る事が出来るらしい、
「じゃあ帰るぞ、明日から学校だ」
「あ、あの…… 待ってください」
 私は大神さんを止めた。
「どうした?」
「秀一君を助けてくれて、ありがとうございます」
 私は頭を下げた。
「別に助けた覚えはねぇぜ」
「俺達はただ戦ってクォールの願いを叶えただけだ」
「それでも、あのままいなくなったらきっと秀一君は救われなかったと思います」
 私も秀一君の気持ちが分る、
 もしあのままクォ―ルを消していたら秀一の未来は閉ざされたままだったのは間違いない、
「……礼を言うのはこっちの方かもな」
「えっ?」
 大神さんは孤児院を見ながら言って来た。
「今回の事で分かった。戦う以外にも解決する方法があるとな、君に教えられた」
「えっ? 私は別に……」
 どうやら私は大神さんを誤解していた。
 この人は他人にも自分にも厳しいけど断じて話が分らない人じゃ無い、人の為に怒れる熱い心の持ち主だった。
 そんな事を考えていると口をへの字に曲げた兄貴が大神さんの胸倉をつかんできた。
「おいてめぇ、人様の妹に何色目使ってんだ?」
「ちょ、兄さん何考えてんのよ?」
「オレは素直に感謝しているだけだ」
「何が感謝だムッツリスケベ!」
 今の言葉が頭に着たんだろう、大神さんは自分の胸倉をつかんでいる兄貴の腕を自分の右手で握り締めて引き離した。
「誰がムッツリスケベだ! 頭の中が妹しかないシスコンに言われたくない!」
「当たり前だ。舞はオレのモンだ。誰にも渡さねぇ!」
「兄さんっ、何言ってんのよ!」
 すると後ろで見てた不破さんが嬉しそうに口元を抑え、三葉さんがニヤニヤと笑いながら言って来た。
「うわっ、修羅場修羅場!」
「兄と彼氏の決闘か、中々お目にかかれねぇな」
「何言ってんですか! そんなんじゃありません!」
 2人はこの状況を楽しんでいた。
 って言うか2人供止めるの手伝って! 
「誰が舞の彼氏だ? オレはこんな奴を弟とは認めねぇ!」
「それはこっちのセリフだ! 貴様が兄になるくらいなら俺は死を選ぶ!」
「黙りやがれ! オレだっててめぇが弟になるくらいなら地獄に落ちて閻魔大王の拷問を一通り食らった後ゴキブリになって潰される方が本望だ!」
 最終的に死ぬって事じゃない、ってか兄貴何回死ねば気がすむのよ?
「貴様そこまで言うか?」
「それでも生ぬるいくらいだよ!」
「2人供やめて〜っ!」
 一昔前のマンガのように一触即発の2人の目から火花が飛んでいるように見えた。
 だけどケンカしている2人を見ると以前里中が言っていた事を思い出した。
 先生は『地球が異星人と分り合うのは早すぎる』と言っていたけど、案外そうでもなさそうだと思っていた。
 私の周りには不破さんや大神さんや三葉さん、さらに里中先生や水城先輩など沢山の異星人がいる、
 それに秀一君の事を考えると地球人が異星人と仲良くなる日はそれほど遠くないのかも知れないと思うのだった。