SAⅤIOR・AGENT
オレ達は子供を追って施設を出ると少し離れた雑木林の中にやって来た。
聞いた話じゃこの奥には崖があるらしく、子供達は絶対に近づくなと言われている、
「おい、本当にこっちで合ってるのか?」
「疑うならついて来るな、来て欲しいとは言っていない」
「本当にムカツク野朗だなお前は」
「よせタクミ、こう言う事をやらせたらバイスの右に出る奴なんかいやしねぇって」
こいつはこいつでバイスの味方だしな……
オレは口を紡いだままバイスの後を着いて行くとやがて1つの小さな洞窟を発見した。大人1人分は入れる大きさの洞穴に子供は入っていくのが見えた。
「この中か……」
「何がだよ?」
「あの子供から地球外の火薬の臭いがした。あの臭いは第18銀河で使われている物だ」
「18銀河…… あそこって確かバロ星がある所だな」
「おいおい、何だかヤバイ事考えちまうぜ」
その割りにサイモンは笑ってやがった。
洞窟の両サイドに背をつけるとオレ達は仲の様子をうかがった。
見るとそこには案の定、指名手配犯のクォ―ルがいた。
やっぱり墜落で怪我を負ったんだろう、体中包帯だらけで壁に背をもたれていた。地面にはあの子供が盗んだ食べ物の残骸やゴミが散らばっていた。
洞窟から子供の言葉が響いてくる、
「ゴメンね、本当はもっと持ってくるはずだったんだけど……」
子供はクォ―ルの腕に自分の小さな手を乗せ謝るとポケットからビニール袋に包まれたビスケットを取り出した。
「あの子供に匿われてたと言う事か」
「道理で見つからねぇ訳だな、どうする? 踏み込むか?」
「いや、あの子供がいる以上人質に取られたら厄介だ。少し様子をみよう」
バイスの言うとおり、様子を見る事にした。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki