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 太平洋沖、
 ここではダム同様に巨大な渦潮が巻いていた。その上空ではステルス能力と光学迷彩で姿を隠した円盤が飛んでいた。
 円盤の中では地球資源強奪部隊の隊長と複数の部下達がその様子を見ていた。
 隊長は一回り体が大きく、黒いマントを羽織っていた。
『報告します、エリア24にてニマース隊からの信号が途絶えました!』
『続いてブギル隊、ジャッケ隊、ナーギ隊全滅です、バース隊長!』
 バースは部下達からダムに放った別働隊全滅の報告を聞いた。
 日本中に放ったキューラ星人達はセイヴァー・エージェントと交戦し、次々と壊滅して行った。
 バースは仲間を失った事に眉を細めて眉間に皺を寄せた。
『同胞達は消えたか、だが彼等の意思は無駄にはしない!』
『ぎゃあああっ!』
 突然悲鳴が聞えて振り向く、
 その目に映ったのは入り口に寄りかかりながら光り輝きながら粒子化する部下達だった。
『た、隊…… ちょ……』
『な、どうした? むっ?』
 するとそこに2つの人影が現れた。
 1人は肩まである長い金髪を後ろで束ね、白いゴーグルを頭につけた赤と黒のストライプのシャツの上から白いYシャツを羽織り、左腕にはセイヴァー・エージェントの紋章のついた黄金の腕輪、右手には銀色に輝く銃身に金の宝玉の取り付けられた小型拳銃を持ち、下はジーンズと長いブーツ、
 もう1人は細いが背の高い、少し逆立った黒い髪にバンダナが巻かれ、鋭い目に細い顎、半袖の白いYシャツの上から背中に狼の刺繍が入ったノースリーブの黒いジャケット、黄金の光の刃のポール・アクスを右肩にかけ、セイヴァー・エージェントの紋章の入った緑の長方形のバックルのベルトの巻かれた黒いパンツと黒いブーツを履いていた。
「随分チャチなセキュリティだなぁこの宇宙船、あくびがでるかと思ったぜ」
「敵陣で不謹慎すぎるぞ、もっと気を引き締めろ、サイモン」
『き、貴様等は…… 何者だ? どうやって入った?』
 キューラ星人達は右手に持っていた三又の矛を2人に向けた。
 するとサイモンが笑いながら言って来た。
「威勢がいいな旦那、だけど平和条約未登録惑星で犯罪者とっ捕まえるなんざ、1つしかねぇだろ、なぁ、バイス」
『セイヴァ―・エージェントか! だが邪魔はさせんぞ!』
 キューラ星人達はサイモンとヴァイスに向って突進した。
「β・モードっ!」
 バイスはセイヴァー・アームズのモードを切り替えて敵に突っ込んだ。
 そして目にも止まらぬ速さでセイヴァー・アームズを振るうと、たちまち相手の武器を捌いて受け流した。
「全員逮捕だぜ!」
 するとその隙を狙ってサイモンが自分のセイヴァー・アームズの引き金を引いた。
 銃口から発せられた金色の銃弾が体に当るとキューバ星人達はたちまち粒子化してゼルベリオスに強制転送された。
『お、おのれっ!』
 すると業を煮やしたバースが自ら得物を振りかざした。
「サイモンっ! お前は機械を止めろ!」
「おう! 任せろ!」
 バイスと武器と敵の武器が擦れ合い、火花を散らす中、サイモンは操縦席に座った。
「さてと」
 サイモンが両手の指の関節を鳴らすとコンピューターを動かした。
 画面にシステムが映し出されると、サイモンはたちまちそれを解析、起動スイッチを入れた。
「奪ったモンは返してもらうぜぇ!」
 途端表の渦潮が止まった。
 さらに見た目は分からないが吸水機械が逆噴射で今まで溜められた海水が表に流れ出した。
『な、なにっ?』
 バースは目を見開いた。
『貴様っ、何をした?』
「この程度のシステム、寝ながらでも操れんだよ!」
 サイモンは操縦席から立ち上がり鼻で笑った。
 バイスはバースの武器を払ってサイモンの側に寄ると敵に向って得物の矛先を向けた。
「キューラ星人! 地球資源強奪の罪で逮捕する!」
『クっ、クソ―っ!』
 全ての部下と手を失ったバースは自棄になって三又の矛を構え直し、バイスに襲い掛かった。
 するとバイスも特攻、相手の突き出した槍を勢いよく下から払うと三又の矛の刃が切り落とされた。
『くっ……』
 バースは得物を失い数歩下がる、
 バイスはセイヴァー・アームズを構え直して目を見開いた。
「α・モード!」
 バイスのセイヴァ―・アームズに金色のエネルギーが集まり、バースに向って振り下ろされた。
『ぐあああああっ!』
 金色の一撃を食らったバースはたちまち光の粒子となって消えて行った。