SAⅤIOR・AGENT
美香ちゃんのお見舞いが終わった翌日だった。
今日は休日と言う事でゆっくり寝てようと思っていたある日の事だった。枕元に置いてあった携帯電話が鳴り響いた。
「ううぅ〜〜、誰よ〜〜?」
低血圧な私は朝は苦手だ。
しかも携帯電話は持ってるけど叔母さん以外かけてくる人間が居ないし、登録されている番号も伯母さん時報と天気予報くらいしかない、後はニュースを見るくらいしか使わない、殆ど無駄だと思ってるけど伯母さんが高校生になったからと言う理由で買ってくれたのだった。
案の定知らない番号だった。多分間違い電話だろうと思い電話に出る、
「……はい」
『ようっ! ぐっど・も〜にんぐっ!』
「に、兄さんっ?」
私の眠気がF1カーのようにかっ飛んだ。
「ちょっ、何で私の携帯番号知ってるのよ?」
『セイヴァ―・エージェントに不可能は無い!』
「根拠が無い!」
私は携帯の向こうの兄貴に向って叫んだ。
何でも兄貴は自分も携帯を買ったので私の携帯を調べたと言う、
「一体どうやって…… って言うか普通にブレスがあるじゃない!」
兄貴から貰ったセイヴァ―・ブレスは兄貴のギルと繋がっているので基本的にいつでも会話が出来る、一々携帯なんて買わなくたって良いはずだ。
『ブレス使って通話してる所を誰かに見られたら大変だろ』
「それはそうだけど……」
『それより今日お前暇か? 暇ならデートしようぜ』
「はあっ?」
『約束しただろ、俺の家に案内するって』
そう言えばそんな事を言ってた気がするな……
だからってデートは無いでしょうに、私達兄妹何だから、
『実はもう家の前に来てるんだよ』
「ええっ?」
私はカーテンを開ける、
すると玄関近くの電柱に兄貴が背をもたれていた。
兄貴は窓から覗く私を見ると手を振り上げた。
「ちょ、ちょっと待ってて!」
私は携帯電話の通話を切った。
あのバカ! 状況が分かってるのか?
確かに兄貴がこの家に来たのは子供の頃にほんの2〜3回ていどだから、近所の人に見つかっても正体バレないだろうけど、でも万が一って場合も有る、
私は着替えて下に降りると洗面台で軽く寝癖を解かして表に出た。
「よう、おはよう!」
「ちょっと!」
私は兄貴に食って掛かった。
「アンタね、何もこんなところで……」
「ままま、それよりさっさと行こうぜ」
「人の話を聞きなさいよ!」
兄貴は人の話を聞いてなかった。
作品名:SAⅤIOR・AGENT 作家名:kazuyuki