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Episode1,宇宙からの帰還

 

 スペースコロニーの事件は世界中を巻き込んでの大騒ぎになり連日テレビや新聞で取り上げられた。
 そりゃ1000人以上の死傷者が出たんだから当然だった。
 家にも政府の連中が謝罪しに着たけれど謝られても兄貴は帰ってこない……

 その日から私は1人になった。
 母さんは私を産んですぐに亡くなり、刑事だった父さんは兄貴が中学3年、私が小学校6年の頃にとある事件を追って殉職した。
 それ以来兄貴とは2人きりになった。そして今度は兄貴が……

 私は今日もあの夢を見た。
 兄貴が暗い闇の向こうに行ってしまう夢、追いつこうにも追いつけない、手を伸ばしても届かない、そんな夢を私はずっと見てる……
 目を覚ますと目覚ましが鳴る3分前に目が覚めた。
「何が一週間で帰るだよ、バカ兄貴……」 
 そう思いながら2年の月日が流れた。
 兄貴が居なくなってから私は伯母の家に引き取られて暮らしている、しかも伯母さんはファッションデザイナーで一旦仕事で家を開けると2〜3ヵ月は家に帰ってこない、今はニューヨークに行っている。
 私はベットから起きると洗面所で顔を洗い朝食を適当に用意して食べて制服に袖を通した。
 黒いブレザーにスカート、襟には緑のリボンが付いた制服だった。
 カバンを持って外に出て15分、私は7時55分のバスに乗って私立桜星高校に向かった。
「ふぅ、暑いなぁ……」
 まだ四月だってのに、これじゃ地球温暖化を通り越して地球燃焼化だ。
 バスを降りて校門を潜り、校舎に入って靴を履き替え自分の教室へ、今日も変わらない一日が始まった。
「はぁ……」 
 自分の机に荷物を降ろしてイスに座る、暇潰しに携帯でニュースを見る、内容はどれもこれも同じだった。
「政治家の汚職、ビルで火災……」
 最近こんな事件ばっかりだった。
 
 それから授業が始まる、私は窓の外を見ていた。
 白い雲が風に乗って流れて行く、小さかった頃に兄貴が父さんと母さんは雲の上の天国に居るって言ってたけど、ただの水蒸気にどうやって住めるって言うのよ、
「じゃあこの問題を…… 白金、白金?」
「えっ?」
 教師が私の名を呼んだ。
「この問題を解いてみろ」
「あ、はい……」
 私は答えを言った。
「正解だ。さすが白金だな」
 私は座る、しかしクラスの誰しもいい顔はしない、
(できて当たり前だっつーの)
 自慢じゃないけど私は成績はトップクラスで常に上位だった。
 でも別にそんなの嬉しくない、100点満点取ったって一流大学に受かったからって私には喜んでくれる人間がいない、教師は喜んでくれるだろうけど、そんなのはタダの学校の株を上げる為で私の為じゃない、
「はぁ…… 最悪」 
 私は舌打ちすると再び外を見た。