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プロローグ



 人類は飛躍的な進歩を遂げ、その領域を宇宙にまで伸ばしてついに宇宙に居住区を造る事に成功した。そして多くのマスコミの他に抽選で選ばれた一般人1000人が招待された。
「じゃあ行ってくるよ」
 ブレザーの制服を着た高校生の少年の名は白金匠、彼はスペースコロニー招待の懸賞に当りスポーツバックを肩にかけて都会の宇宙ステーションに向かおうとしていた。
見送ってくれる家族に向かって笑顔で微笑んだ。2つ下の妹の白金舞だった。
「あ〜あ、私も行きたかったなぁ〜」
 舞は口を尖らせながらつまらなさそうに言う、実は舞もハガキを送ったのだが落選してしまったのだった。
「心配するなって、一週間経ったら帰ってくるから……」
 匠は妹の頭を撫で回した。
「なっ、子供扱いすんな!」
 妹は照れながら兄の腕を振り解いた。
 電車がやって来た。扉が開くと匠は電車に乗ろうとした。
「あっ、ちょっと待って!」
 すると舞は手提げ鞄の中からピンポン玉くらいの大きさの銀の球体にリングが掛かり小さな鎖を繋いだネックレスを取り出した。
「はい、これ」
「何だこりゃ?」
 匠が尋ねると舞は目を泳がせると口をへの字に曲げて言った。
「お守りよお守り、高かったんだからね」
「お前……」
「勘違いすんじゃないわよ! 私は…… アンタがどうなろうと知った事じゃないんだからね!」 
 舞の言葉に匠はニヤリと笑う、
「お前相変わらずツンデレだな」
「ツ、ツンデレ言うな、バカ兄貴っ! いらないなら別に……」
「ああっ、要る要る、要らないなんて言ってないだろ!」
 匠は慌てて受け取った。
「無くしたりしたら承知しないんだからね」
「わーったよ、俺が死んでもこれだけは無くさねぇよ」
「……バカ」
 舞は肩を窄めて口をアヒルのように尖らせた。
「じゃあ行ってくるわ」
 発車時刻になり匠は電車に乗り込んだ。
「お土産忘れないでよ」
「ああ、もちろん」
 扉が閉まり電車が動き出した。
 匠を乗せた電車は小さくなって行く、そして数日後には再び自分達の元へ帰ってきてくれると妹はそう思っていた。しかしその翌日、こんなニュースが世界に向かって流れた。

『宇宙コロニー謎の大爆発、乗員乗客全員死亡』