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エピローグ



 それから1ヶ月後。
 再びいつも通りの日常が始まった。
 今日は月に一度の風紀委員の取り締まり週間だった。
 生徒会の仕事が無い私は普通に登校した。バスを降りて校門へ向かう。
「おはようございます」
 塩田さんは風紀委員の中で登校して来る生徒達に挨拶をしていた。
 そして鞄にキーホルダーを付けた女子生徒が塩田さんの目に止まった。
「あ、待ってください!」
「えっ? あっ……」
 女子生徒は塩田さんの事を知っているのだろう、今日が風紀取り締まり週間だと言う事を忘れていたようで顔を顰めた。
 かつての塩田さんなら問答無用で没収しただろう、だけど今の彼女は違った。
「キーホルダー、気を付けてくださいね」
「あ、うん……」
 それだけ言うと女子生徒は拍子抜けと言わんばかりに首をかしげると校舎の中へ走って行った。
 やっぱり彼女は変わった。そう思いながら私は微笑した。

 それから時が流れて昼休み。
 屋上へやって来ると兄貴がベンチの上で寝そべっていた。
「兄さん」
「ん、舞か」
 あれから兄貴はずっと空を見上げる事が多かった。
「気ぃ抜き過ぎじゃないの? 今日からセイヴァー・エージェントの仕事再会するんでしょう?」
 ちなみに兄貴達の処分は1ヶ月の謹慎だった。
 本来ならば懲戒免職だったのだけど、結果的にゼルベリオス本星の援軍と地球の精鋭チームを助け、オメガの野望を砕き、さらに三葉さんが作ったセイヴァー・ギアの有能性が評価され、設計図を渡すと言う事でその程度で済んだらしい。
 今後はセイヴァー・ギアが量産される事になる予定らしい、だけど地球人みたいなヒューマノイドの異星人ならともかく、月で見たような人型じゃ無いセイヴァー・エージェントはどんなの装着するんだろう? 
 私は兄貴の横のフェンスに背を凭れると同じく空を見た。

 この空の向こう側には地球人の常識では測りしれない世界が存在し、想像もつかない人々が生活をしている。
 そりゃ『異星人』と言う言葉で片付けてしまえばそれまでだけど、とても今の地球人の頭では受け入れる事はできないだろう。
 そんな事を考えている時だった。
『1年A組の御剣・匠君、B組の不破・蘭さん、C組の三葉・彩文君、大神・吠栖君、里中先生がお呼びです、至急保健室まで来てください』
 この4人が呼ばれるって事は間違いない、セイヴァー・エージェント出撃の指令だった。
「やれやれ、謹慎解けた途端これかよ」
 兄貴は体を起こしてベンチから立ち上がった。
「じゃあオレ行くわ、ノート頼むな」
 兄貴は私に背を向けながら手を振って去って行った。
 そしてドアノブに手を当てると……
「あ、そうだ。恵ちゃんに伝えといてくれ…… ゼルベリオスに送ったレンの事なんだけどな、情状酌量の余地があって地球に住んで良い事になったぜ」 
「本当?」
 私が尋ねると兄貴は頷いた。
 レンは真面目に服役していれば近い内に釈放されるらしい。
「2人供…… 幸せになれるよね?」
「さぁな、それはあいつら次第だ。まぁ、オレ達の兄妹愛には叶わねぇだろうけどな」
 兄貴は白い歯を見せて割った。
 ってか愛ィィ?
「ちょ、何言ってんのよ! 気持ち悪いわね!」
「別に良いだろ、兄妹なんだから…… 本当は嬉しいんだろ、このツンデレ」
「ツンデレじゃない! さっさと行っちゃえーっ!」
 私は叫ぶと兄貴はそのまま校舎に戻った。
 全くいつもいつも……
「はぁ……」
 私は呟いた。
 正直兄貴はまだ私を子供扱いするしツンデレ扱いするしセクハラもする。
 こんな兄貴だけど間違いなく地球を救ってくれた。こんな話が出来るのは認めたくないが兄貴のおかげだった。
「行ってらっしゃい…… バカ兄貴」
 私に出来るのはこれくらいだった。
 だけど心から戦いに向かう兄貴達の無事を祈った。