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 オレは後ろを見るとファーラン達と供にレンに駆けよる。
 レンは全身から脂汗を流し、もがき苦しんでいた。
「おい、止める方法は無いのか?」
「……む、無理だ」
 レンが苦しそうな声で呟いた。
「早く、逃げろ……今ならまだ間に合う」
「バカ言うな! 諦めるんじゃねぇよ!」
「覚悟はできていた。オメガに入った時からな……」
 レンは口の端を上げた。
「本当は分かっていたさ、こんな事をしたって妹が喜ぶ訳が無いってな…… ただ何かしてないと、自分が自分じゃ無くなるみたいで…… だがこれで、俺も妹の所へ……」
「そんなのダメよ!」
 塩田ちゃんはレンに叫ぶ。
「いくら酷い目にあったからって、貴方のやった事は簡単に許される事じゃないわ、それを罪を償わずに死んで楽になろうなんて、そんなの虫が良すぎるわよ!」
 すると白い両手でレンの血まみれの右手を握りしめて頬に寄せる。
「貴方は生きるのよ、生きて償わないと……妹さんも私も許さない!」
 塩田ちゃんの瞳から流れた涙がレンの右手に流れ落ちる。
「……お、俺は」
 レンは右手を握り返し、顔を顰めてうつむいた。
 それを見ていたサイモンが言って来た。
「1つだけ方法があるぜ、一度データ化するんだ。そしてその中から爆弾のデータだけを取り除けば良い」
「ゼルベリオスに送るの?」
「ああ、オレ様も行って治してきてやるよ、お偉いさん達にゃオレ様が話をつけて置いてやっから心配すんな」
 サイモンの心配なんか誰もしてねぇよ。
 だけど本当におっかないぐらい頼りになる奴だぜ。
「だが問題はシドだ。班長にこの事を知らせて……」
「そんな暇ないよ、援軍も地球に到着しちゃうし、時間が無い!」
「兵器の場所さえ分かれば……」
 オレは舌打ちをする。
 携帯を取り出すと援軍到着まで後1時間を切っていた。
 これから千鶴ちゃんに連絡してゼルベリオスの派遣部隊を止めてもらう事は出来るが地球の滅亡は止められない。
「……宇宙だ」
 するとレンが言って来た。
 オメガの作り上げた新兵器は一度発動すればその星の核を刺激して天変地異を起こさせる事が出来る人工衛星らしい。
 その衛星の名前は『ディザスター』と言って、地球の人工衛星の中に紛れて浮かんでいると言う。
「なるほどな、確かにそこにいるのが安全だな」
「……だがもう遅い、ディザスターは起動する、地球はお終いだ」
「させるかよ」
 オレは立ち上がる。
 そして床に落ちてるオレのセイヴァー・アームズを手に取った。
「ディザスターだか何だか知らないが、んな物騒なモンぶっ壊しゃ良いだけだろ」
「お前、まさか……」
 レンは立ち上がろうとする。
 オレは人差し指を天井に向けながら言った。
「ああ、ちょっくら行って来る」
「お前、正気か? 1人で何が出来る?」
「1人じゃ無い」
 振り向くとそこにはファーランとバイスも立ち上った。
「って、お前ら大丈夫かよ?」
 オレは尋ねる。
 こいつらが1番ダメージ受けてたからだ。
「十分休めた」
「アタシも、飛べなくたって戦えるよ」
 2人はオレが戦っている間にサポーターの回復を受けていた。
 ダメージはまだ塞がってはいないが戦いには何の差し支えも無いらしい。
「じゃあサイモン、あと頼むぜ」
「ああ、オレ様も後から行く、思う存分暴れて来い!」
 サイモンが自分の親指を突き立てた。
 オレ達は最後の戦いに向かって部屋を飛び出した。