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 放課後、私は生徒会室にやって来た。
「はぁ……」
 私はため息を零した。
 まるで大神さんの様なタイプだけど大神さんは臨機応変と言う言葉を知っている、最初からそう言う訳じゃないと言って来たけど……
「つまりは初期型大神さんか……」
「白金さん?」
 そこに話しかけて来たのは水城先輩だった。
「先輩」
「どうしたんですか?」
「あ、いえ、大した事じゃないんですけど……」
 私は塩田さんとの会話の事を思い出した。
「先輩はどう思います? 少なくとも塩田さんは間違っては無いんですけど……」
「そうですね、確かに間違ってはいませんけど、正しいって訳でも無いですね」
「ええ、どうすればいいんでしょうか……」
 私は頭を抱える。
 正しくも無いし間違っても無い。
 塩田さんの言い分も分かるけど、正義って物は人に迷惑をかけてでもやるべき事か?
 兄貴達は人を守る事に迷惑事は極力避けている、それもセイヴァー・エージェントの掟なんだろうけど。
 法や掟を守って行動するのは同じなのに、どうしてこうも違いがあるんだろうか?

 生徒会の仕事が思ったより早く終わり、今日は早く帰れるようになった。
「あ、しまった」
 私は忘れ物を思い出して自分の教室に帰ろうと思った。
 丁度その時に1年5組の教室を通った時だった。
「ん?」
 机の扉が開きっぱなしになっていて、教室の中には塩田さんが机の前で佇んでいた。
「塩田さん?」
「……あ」
 塩田さんが振り向く。
 しかし彼女の目は赤かく、しかも下まぶたに涙が溜まっていた。
「どうしたの?」
「い、いえ…… 別に」
「別にって、そんな訳…… ッ?」
 私は見た。
 塩田さんの後ろにある机の上には教科書やノートが開かれ置かれていた。
 だけど教科書やノートは落書きだらけだった。
「ひどい…… 誰がこんな事を?」
「気にしないで、いつもの事です」
「いつもって……」
 塩田さんは語った。
 塩田さんは前の学校でも風紀委員をしていて、今回みたいな嫌がらせを受け仕舞には教師からも匙を投げられて居場所を無くしここに来たと言う。
「それって、追い出されたも同じじゃない!」
 私は言う。
 すると塩田さんは悔しそうに顔を顰め、拳を握る。
「どうして…… 少し厳しいくらいで」
「やっぱり厳しすぎたんじゃ……」
「違う!」
 塩田さんが私に向かって目を吊り上げる。
 私は両肩をビクつかせる。
「私は学校の為に…… 生徒達が清く正しい生活を送れるように一生懸命に……」
「それは分かってる、だけど無理にでもする事?」
 確かに校則は大事だ。
 だけど生徒は校則の為に通ってる訳じゃない。
 私がそれを言うと塩田さん身を震わせると私に向かって顔を強張らせた。
「やっぱり貴女も同じね」
「えっ?」
「いつもそうよ、私が正しい正しいって言っておきながら…… 最後は違う違うって」
「そんな、私はそんなつもりじゃ……」
「もうほおって置いて!」
 塩田さんは自分の鞄を持つと私から走り去って行った。
「塩田さんっ!」
 私は塩田さんの後を追いかける。
 だけど私が廊下に出るとすでに姿は無かった。