予期せぬ手紙
何度かあなたを思い出していました。もし結婚していたら……と。
ほら、覚えているかな、私が「歯ブラシを持ってくればよかったかな」と言ったら、あんたったら、ぽかんとして。私はあんたのアパートで同棲してもいいかなと思っていたのに。
たぶん、結婚まではいかなかったと思っているの。私と一緒だとあんたは自分から何かしようと思わなかっただろうから。まだ二十歳だったものね。あれからちゃんと恋愛して結婚したんだ。大人になったんだあ。ふふふ。私はおばあちゃんになりました。皺も増えて、髪もだいぶ白くなっています。
逢いたいという思いはありますが、あんた、いやあなたのイメージを損ねないように逢わずにいたいと思います。小説頑張ってください。どこかの雑誌か小説であなたの写真が載るのを楽しみにしています。
さようなら。