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予期せぬ手紙

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前略

突然こんな手紙を受け取ってびっくりしたでしょう。住所は、あなたと一緒に働いたあの会社の後輩に調べて貰いました。だいぶ昔のことなので苦労したようです。

その前に、WEB上で【あら、私と同じようなことを……。】と、あなたの書いた小説を偶然見てしまったからです。読んでいて、短いので一気に読んでしまって、また最初から読み直しました。

間違いないわ、ペンネームも本名と似ているしと確信して、うっかり涙が出そうになりました。え、出なかった。だって、あんた、あっいけない。昔に戻ってしまって【あんた】なんて言ってしまって。ふふふ。あんた美化しすぎでしょ。


しばらく思い出に浸って、はっと我に返った時、めまいがしてしまいました。魂が遠い時空を旅して、酔ってしまったのでしょう。元気で何よりです。そして……奥さんを亡くされたんですね。心が乱れてしまいました。私も今独りなものですから。でも………。

相変わらず夢見る少女(少年じゃないよ)のような性格なのね。あんたのそんな所が、だんだん頼りなく思えて、別れを切り出したんです。だって、女ですもの、私が少し年上だとしても、あんたに引っ張ってほしかったんです。ほら、私父親というのを知らなかったから。

その思いから男らしいわと思った人と結婚しました。あの会社を辞めてから2年ぐらい経ってからです。結婚は2年で終わりました。そのうち1年は別居しています。私が男らしいと思っていた彼は、ただ乱暴で我がままなだけでした。稼ぎは結構あって、娘が1人おりましたから頑張ってみようと思いましたけれど、無理でした。

作品名:予期せぬ手紙 作家名:伊達梁川