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アイドルは9000兆円産業である

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アフリカン・ドリーム




 アフリカには、多くの資源が眠っている。日本と北米が全体主義・共産主義化し始めたとき、多くの起業家は、アフリカ諸国に亡命した。

 アフリカ大陸と中東、そして中央アジア諸国の一部の国は、イランとサウジアラビアの固有の領土になった。宗教ファシズムと21世紀の経済体制、「新自由主義」によって資源採掘が行われた。
 
 環境破壊が酷い。野生の動物は絶滅した。未開人は全て奴隷にされた。未開人社会と、その文化は絶滅した。

 結果的に地球は、完全に二つに分断された。それを決定づけられたのが、「ホメイニイ条約」である。富裕層と宗教家のみが近代生活する権利があるが、一般庶民は中世の暗黒時代のような生活を強いられている。


 そのためテロリストによる反体制活動が、23世紀でも続いている。
「近年、先進国諸国から多くのボランティアが中東やアフリカで活躍していますが」
「でも、いくらボランティアを送っても焼け石に水状態です。また、そこに住む人たちは完全に無知だから、かえって幸せです。比較するものを知らない。脳に電極を埋め込まされているから、どんなに悲惨な境遇でも、幸福に感じるからです」
「では、自由と人権を求めたテロリストが、次第に犯罪組織になったのですね」
「そうです。初めは正義のための戦いをするつもりが、数世代にわたって次第に犯罪者組織になりました。結果的に世界を二つに分断しなければならない状態です。『共存は不可能』と全世界の人たちは悟りました。いつか、私たち先進国に住む人たちの子孫は火星へ移住する日が来ます」
「でも、火星に人間が住むのは、とても厳しいです。宇宙放射線が容赦なく降り注ぎますし、低重力のため未知の病気も起きます。それに火星をテラフォーミングなんてSFです。テラフォーミングが終了する数十万年の未来になるまで宇宙服を着ないと外出できません。でも、その時には地球から生物が棲めなくなるでしょう」
「そう思います。地球にはいくらでも資源があります。でも、資源採掘のために環境を破壊しているから、地球に生物が住めなくなるのも時間の問題です。そのために宇宙エレベーターで多くの人たちを火星へ移住させるのです」
「でも、火星は重力が弱い。医学的に問題があると思います」
「その無理を可能にするのが科学技術です」
「でも、私には理解できません。そんな力があるなら地球の環境を保護するしかないです」

 南先生はスクリーンに地球の未来予測図を表示させた。
「人類は有終の美で終えるべきでしょうか? 私たちの世代は、犯罪も貧困もない社会で暮らしています。残りは未来への投資、私たち子孫への配慮です。人類は生き残るためには、より高いテクノロジーが必要です。できる限り人類の寿命を伸ばす必要があります。人類最後の日は、数万年後かもしれません」
「でも、もし世界大戦があったら、高いテクノロジーによって人類は滅亡します。それに自分たちさえよければいいという事ではありません。だって精神病質の人たちをアフリカに追放するのは、私たちの社会ではいいけど、そこに送り込まされた人たちは大きな迷惑です」
「21世紀中期からアフリカン・ドリームがありました。強欲な経営者たちが、現地の人たちを酷使しました。あればアメリカの黒人奴隷制度よりもひどかったです。今は電脳化や薬品によって悲惨さが『麻痺』させているのです」
「全人類的に見ると、21世紀の人たちから見れば、私たちの地球全体がディストピアですね」
「そうです。『ホメイニイ条約』では、西暦3500年までに人類の全ての人たちをイスラム教に強制改宗させなければならないという条約があります。ガチガチな戒律主義を強いられるくらいなら火星で暮らしたほうがマシなんです」







  つづく