アイドルは9000兆円産業である
私の近代史・ビックブラザーが世界を統一した!『CDを10億円で買った男たち』
私は中学1年生、クラスメートは20人。日本各地から集められたアイドルの卵。今日は担任の南先生から近代史を学ぶ。私たちの近代とは21世紀の311地震以降の時代である。
「これから21世紀初頭から始まる近代の歴史を学びます」
私の名前は佐々木美沙、12歳。親元から離れ寮生活をしている。
「ビックブラザーが運営する秋葉原のアイドル歌手のCD1曲だけを10億円で買い集めた人たちがいました。そのためCDを大量に生産しなければならないために、日本の経済は活性化して新しい雇用が生み出されました」
「先生、当時の平均年収は400万円です。どうやって10億円というお金を集める事ができたのですか?」
「いろんなところからお金を借りたり、家と土地を手放したり、その他の方法で10億円をかき集めたからです」
「その『他の方法』とは何ですか?」
「人には言えない方法ですね。と言うことは犯罪の可能性があります」
私は何で恋人でもないのにアイドルに命をかける人がいて、いまもアイドルに命をかける人たちがいるのか理解できない。
「ビックブラザーは大阪を首都にするべきだというゴールドシュタインと大きく対立しましたが、アイドル産業が1京円に達したとき、311地震のツナミに押し流されるようにあっけなく滅びました。世界の70パーセントが日本固有の領土になり、通貨は円に統一し、世界共通語は日本語になりました」
「ビックブラザーを支援したのがCDを10億円で買った人たちなんですか?」
「そうです。数百人の人たちが、たった1人のアイドルのために10億円を貢ぎました」
「CDの販売やコンサートの入場料だけでは、ビックブラザーの資産が1京円になりません。アイドル業界が9000兆円産業にもなりません」
「ビックブラザーはスクールリターンという方法を考えつきました。22歳以上の大人が、もう一度中学生からやり直し、6年間の生活が保障され、学校で専門知識を学び技術者になり、就職したら6年間の学費と生活費を死ぬまで返すのです。その結果、優秀な技術者が増えテクノロジーが爆発的に進歩しました。その収益金によりビックブラザーの資産は100京円に達しユダヤ財閥や秘密結社も311地震のツナミに押し流されたようにあっけなく滅びました」
「と言うことは、何歳になっても中学1年からやり直しができるということですか?」
「そうです。あとは全ての10歳以上の子どもたちにビックブラザーが運営する学習塾に通う事を義務つけた結果、勉強嫌いな子どもがいなくなり、日本の教育水準は飛躍的に上がりました。それと同時にビックブラザー推薦のアイドルのCDを1万枚買うことを義務つけました。高校卒業まで1億円、大学を4年間通うと7000万円を払うことを義務つけました」
「すごい時代だったのですね」
「その結果、近代が始まりました」
私はアイドルオタクたちが10億円というお金を集めるほど熱狂的になっているのに驚いた。10億円もあれば自分で芸能プロダクションがたてられ、自分のためだけの美少女アイドルを専門に雇うことができ、お気に入りのアイドルと結婚もできると思った。
私たちは教室のスクリーンに21世紀の歴史を30分にまとめたドキュメンタリー映画を観た。
作品名:アイドルは9000兆円産業である 作家名:ぽめ