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有島そうき
有島そうき
novelistID. 37034
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私の好きな人

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私は自分が好きになった人に好かれたことがない。
 父も母も私を好きではなかったし、高校生の時、初めて身体を重ねた男性も私のことなんて全く好きではなかった。
 今だってそうだ。
私が誰よりも好きで、優しくしたいと思っている星野くんは、私以外の別の女性のことを好きでいる。彼はその彼女の事が大好きで、その恋が辛くて辛くてしょうがない、と私の前でぼろぼろと涙を流したりもする。私はそんな彼をとても愛おしいと思いながら、彼にこれっぽっちも関心を向けられずに、彼の側にいる。
 彼は『自分なんて何の価値もない』とよく落ち込んでいるが、それならそんな彼の事が好きで好きでしょうがなくて、それなのに女性として一ミリの興味ももって貰えない私は何?って思う。彼が自分自身の事をありもしない言葉で責める度に、私はそんな彼を支えてあげたいと思いながらも、私自身の価値すら疑い始めて、彼と一緒にどんどん深みにはまっていくのだ。
作品名:私の好きな人 作家名:有島そうき