裸電球
三畳一間の狭い箱に ボストンバックと俺一人
冷めた弁当広げてみたが ちっとも箸は進まない
天井には裸電球が揺れる
首を吊ろうにも 紐を掛ける場所さえ見当たらぬ
電車の音がうるさく響く ついでに部屋もガタピシ揺れる
空けた焼酎カップの表面 波打つ様は俺のよう
天井には裸電球が揺れる
明日のお天道様を 拝めるかどうかさえ不安になる
今日の暮らしは終わったが 明日から俺はどうすればいい
福祉事務所の役人どもは 冷たく俺をあしらった
天井には裸電球が揺れる
群がる虫たちのほうが いっそ幸せと思えて仕方ない
捨てたはずの故郷が 時々なつかしくこみあげてくる
かとは言ってはみても 帰れる身の上じゃなし
天井には裸電球が揺れる
ひび割れた日々の暮らしが そろそろ行き詰まってきたみたい