「セックスアンドザシックスティーズ」 第四話
「確かにそういいました。長い人生を一緒に暮らすためには経済的なことや価値観は重要だけど、男と女として愛し合うためには好きだと強く思えないと無理だと思ったんです・・・」
「あなたも私達と同じじゃないの。なんか安心したわ。ねえ映子さん?恵子さんも」
二人は頷いた。
「ところで続きはどうなったのか教えてよ、社長さんとの事」
典子は話の途中だったことを思い出した。
「時々会って食事してくれるだけでいいから仲良くして欲しいと言われたの」
「へえ~社長って奥さんも子供さんも居るのよね?」
「奥様は亡くなっていらっしゃらないの。子供さんは取引先に就職されている。修行だとか言ってたみたいだけど」
「あなたはどう返事したの?」
「典子さん、就職して急に社長からそういわれても、戸惑うだけじゃない?あなたならどう?」
「そうね・・・まあとにかく何度かは付き合って様子を見るな、私だったら」
「相手に失礼じゃないの?その気も無いのに」
「そんな事始めてみなきゃ解らないじゃない!映子さんの言ったとおり恋は始めてみないと感じないことだってあるのよ」
「毎日会社で顔を合わせて一緒に仕事をしているのよ・・・みんなにどの顔して交際するのよ。上手く続けられたらまだしも、別れることになったら居られなくなるじゃない・・・もう今の年から再就職は無理。年金もらえるまで何とか勤めたいの」
作品名:「セックスアンドザシックスティーズ」 第四話 作家名:てっしゅう