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さ・く・ら

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オレは補欠からレギュラーに昇格したのかは、もうどうでもよかった。やっぱりヒロコが好きだということと、ヒロコもオレを好いていてくれているということを感じたから。

公園に着いてからも、ヒロコは「あ、甘酒がある。飲むでしょ」と買いに行く。かなりの人出だったが、運良くテーブルを確保できた。まず甘酒で乾杯した。それからヒロコが取り出したのはお握りを主体とした弁当だった。

「おはぎも買ってきたよ」と嬉しそうに言うヒロコ。もしかしたら、お互いに失敗した結婚生活は長い夢の出来事で、事実はヒロコとこうして付き合っているのでは無いかという思いにとらわれた。

目の前に舞い降りた桜の花びらをで目で追いながら「幸せだねえ」とヒロコが言う。「幸せだねえ」とオレも言う。

オレはこれが夢ではないことを確認するために、自分のほっぺを叩いた。
「ははは、何してるのぉ」
ヒロコが笑う。ああ、笑顔が可愛い。オレは桜と甘酒とヒロコに酔ってしまったようだ。

もう一度ほっぺを叩く。ペシッ!




作品名:さ・く・ら 作家名:伊達梁川