「仮面の町」 第十三話
「お父さん!そこまで考えられるなら協力してよ。今こそ生まれ変わるチャンスなのよ、境川市は」
「何をしろと言うんだ。優子は彼とどこまで一緒になって動いているんだ?」
「同級生が署内に居たの。内部の秘密を聞き出したの。それが決め手になったから・・・その子の安全と秘密がばれないようにしないといけないの。それが大きな使命」
「そんな事をしたのか!お前も勇気があるなあ・・・久能は普通じゃないから気をつけろよ。ここに居た方が安全だと思うなら直ぐに引越しして来なさい」
「弘一ひとりには出来ないの。ブレーキをかけられるのは・・・私だけだから」
「そうか・・・くれぐれも深追いはするな。天木くんにもそう言ってくれ」
「かれは自分でそう言っているから心配しないで。外から攻めるって考えているの」
「外から?」
「ええ、本署に行って事故の再調査を依頼するってそう考えているの」
「なるほど、それで動かなかったら裁判に訴えるって言うのだな?」
「そう、同じように考えられるのね、お父さんも」
「久能は明るみに出そうになればどう出るかな・・・問題を大きくしたくないだろうから力で押さえ込むような事はしないだろう」
「弘一さんもそんなようなことを言っていたわ。じゃあ、どうするって思うの?」
「逃げれないから・・・非常手段に出ると思うな」
「非常手段?どういうこと」
作品名:「仮面の町」 第十三話 作家名:てっしゅう