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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「哀の川」 第三十話

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食事が済んで、しばらくここに残りたいと純一が言い出した。祖父と祖母が先に帰るといったので、直樹も車を純一に渡して一緒に帰った。恐る恐る運転席に座り、由佳を隣に乗せて、ドライブコースをゆっくりと走り始めた。途中の展望台で車を止め、もうすっかりと暗くなった夜景を眺めていた。ポートアイランドの観覧車が綺麗に電飾をつけている。麓にダイヤモンドを散りばめたような灯りがちらつく光景は外国に来たようなムードを醸し出していた。

「由佳、綺麗だね・・・今日はありがとう、来てくれて」
「おば様が誘ってくださったのよ。このお洋服まで買っていただいて・・・そうだこれ、母のプレゼント、忘れていた」
「悪いねえ、ありがとう・・・なんだろう、開けていい?」
「うん、開けてみて・・・」
小さな箱から出てきたものには手紙が添えられていた。先にそれを読んだ。

『純一様へ、由佳の母より・・・
あなたのお母様には本当に由佳を可愛がって戴き感謝しております。私は何も出来ませんが、慣れない土地で交通事故に遭われないように安全祈願をした、お守りつきキーホルダーを是非使って下さい。車の運転には十分注意をなさって下さいね。由佳と二人で、純一さんの帰りを楽しみに待っております。
あなたのような息子が出来ましたこと、まだ早いですが誇りに思います。由佳のこと、末永くよろしくお願いします』