赤い傷跡
助走をつけようとなるべく離れる、内心すごく緊張している。
ふつうは無理なのに何故かすごく自信が持てる。
気持ちを落ち着かせ、あたしは走った。
体が軽い、足が自然とどんどん進む。
不思議な感覚にあたしは跳ぶことだけを考えた。
そして地面を蹴り跳んだ。
すると体がフワリと浮いていた。
「うわーー!」
驚くことに自分は高い塀を跳び越えていた、普通の人間ではありえないジャンプ力だ。着地も足は痛くなかった。
「す、すごい、あたしどうしちゃったの?」
自分の体の変化に驚きながらも感動していた。
「そんなことより、亜紀は…ん?」
何か声がした。しかもその声が亜紀に似ていたのだ。
「プールの方からした!」
自分は耳まで良くなったらしい、遠くの方でも声が聞こえるようになった。
あたしは、プールの方に走っていった。
その姿を金色の目をした魔女が後を追っていた。