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赤い傷跡

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「…っ!?いたっ!!」
突然、手首に鋭い痛みが走る。しかも赤い傷がいつもより赤く腫れており
怖くなった。
それだけでは無く、腕や足…至るところが鋭い痛みに襲われその場で勢いよく倒れてしまった。
(痛い…、筋肉が無理矢理引っ張られてるかんじ…。)
あたしは、痛さのあまり涙が出てきて何が起こったのかさっぱりだった。
「…かはっ、……っ!うぅ、」
次は、激しい吐き気に襲われた。吐きたくても吐けなくあたしは激しく呼吸をして
ただ痛みに堪えるだけだった。
「うっ…、はぁ…はぁ…はぁ」
(今日…最悪な日だ。)

どうしてこんなことになったか、分からないあたしはまだ痛む体を抱き締めた。
(もう、やだ…)

気が遠くなりそうになりながらも必死に堪えた。




すると頭の中に誰かが…小さい頃の自分を抱いていた。
(これ…夢?)
見たことの無い光景に自分が気絶してしまったことに気づいた。
(…あれ?お母さん?)
よく見ると自分を抱いていたのは母親だった、場所は海だ。

そこで目の前は真っ暗になり、次は母親が小さい自分を抱き締めながら
泣きじゃくっていた。
母親の前にはお婆ちゃんが立っていた。
なにやら何か話しているようだ。
「許してください…お母さんッ、今まで騙してごめんなさい…」

「いいや、あんたを生かすわけにはいかない!!心の無い化けもんにうちの息子は騙されたんだ!!!」
「…、いいえ。私たちにはちゃんとした感情がありますっ!」
「作られた…だろ?」
二人の会話にあたしはついていけなかった。

そこでまた場面が変わり、次は小さい自分が暗い森に一人だけいた。
そこに森の奥から何か動物が近づいてきた。

手首の傷がまた痛みだした。
近づいてくるにつれて傷の痛みが増していく。

あたしは恐怖感に襲われ逃げ出したくなった、動物の顔が露になっていく。

それは、黒い狼だった。

鋭く光らせる目が小さい自分に近づいてくる。
そしてその尖った爪を降り下ろされた…。





作品名:赤い傷跡 作家名:麗潤