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赤い傷跡

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真輝の祖母は窓から綺麗に光る満月を見ながら唸った。
「ついに来たか…。」

すると窓の外に女の子が現れてきた、祖母は窓を開けて女の子に笑顔で言う。
「あらまぁ、これは可愛い魔女さん。どうしたんだい?」

魔女と言われた女の子は金色の目を怪しく光らせ小さく呟く。

「若い女が…欲しいの、」

「おや?何のために?」

「ウルフの生け贄に」
女の子はそう言ったが首を傾げた。
「若い女…いない。」

「ああ、うちには若い女なんて居やしないさ」

「…うそ、ここのはず」

女の子は目を細め祖母を睨み付ける。
それには動じず祖母は声をあげて笑った。
「だから言ってるだろう?うちには若い女はいないって」

「…どこに隠した。」

女の子の声が低くなっていくのが分かった、けれど祖母は負けじと笑うのはやめ女の子に強い口調で言った。
「生け贄を使ってウルフを仲間にするのはやめな。魔女のあんたがウルフに敵うはずがない、」
だが女の子は聞きもせず祖母に飛び掛かってきた。
手から黒いもやを出し祖母を包み込んだ。
「あらららっ」
祖母は黒いもやに完璧に包まれ身動きがとれなくなった。
女の子はそのまま着地し祖母の前に立った。
「さあ、教えて。」

しかし祖母を包み込んだもやが黄色い光によって消し飛ばされた。
「!?」
女の子は驚きを隠せず身を強ばらせた。
黒いもやから解放された祖母はにへらと笑い、腕を組んだ。


「いやぁ、油断したらダメやなぁ」
久々にやったわぁと笑いながら言う祖母に女の子は金色の目を見開いて口をパクパクさせた。

「あなたも…魔女、しかもあの有名な」

祖母は手のひらから黄色い魔方陣をだした。
「手加減無しでいこうか、」
そう言うと女の子にどんどん近付いて行く。

「…っ」
女の子は顔を歪ませ魔法を出そうとした瞬間、

ツルッ ドテッ!!!


祖母は足元にあったせんべいの袋で滑って転んでしまった。

「~あたたたたたた!!!」

しかも腰から落ちたため鋭い痛みを感じる。

女の子は呆然とし額に浮いていた汗を拭った。
祖母は腰を押さえ立とうとするが、重症のため無理だった。
「いたた…、やっぱもう歳か…」
涙を浮かべそう呟くと、女の子は、はっと何かを思い出したか急いで窓から出た。
「生け贄…学校に置いてきたまんま、」

祖母はそれを聞きしまったと思った。
学校には、今真輝が向かっている。
孫を守るために学校に逃げさせたのに。
(まさか、真輝のお友達も生け贄に!?)
電話の内容を聞きまさかとは思ったがそれを理由に無理矢理逃げさせたのに。



後悔してるころには、すでに女の子は姿を消していた。


作品名:赤い傷跡 作家名:麗潤