「初体験・希望編」 第二話そして最終回
今学期で退学した雄介は改装を終えたミドー楽器店で新装オープンの準備に追われていた。レコードメーカーの協力によりオープンを飾ってアイドル歌手がキャンペーンに立ち寄ることが決まった。ダイエーの協力も得られて階段下の踊り場で特設ステージが組まれて新人歌手3人で歌とサイン会が三日続けて交代で実施された。ゴールデンウィークとあって最終日の有名歌手の時には大変な混雑になり、レコードと握手会のテーブルの前には長い列が続いていた。
大成功のうちに終わったミドー楽器店はその3日間ですでに改装前の一月分を上回る売り上げを記録した。
レジ係で借り出された典子は三日間立って仕事をしたせいかちょっと腰を痛めてしまった。
小枝子は店を手伝ってもらうために何人かと面接をして雄介に決めてもらうことにした。車の免許を持っている男性社員一人と品出しと掃除、片付けをする学生バイトを一人雇い入れた。そして銀行からの勧めもあって、雄介が20歳になる日をめどに会社組織にすることも決定した。
昭和48年4月1日が(有)ミドー楽器店の新しいスタートになった。そしてもう一つ、雄介と小枝子の入籍も行われた。
結婚式は店の営業があるので取りやめて、新婚旅行は盆休みを取る8月まで延期された。
順調な売り上げと地域への音楽活動普及の重責を担って雄介と小枝子はお互いの愛情と社会貢献を深めることを強く誓っていた。
終わり
作品名:「初体験・希望編」 第二話そして最終回 作家名:てっしゅう