宇宙列車 私の夏休み
もうじき静止衛星都市
私たちの頭の上に重力を徐々に強く感じる。列車が速度を落としている。今日で7日目。あと2時間で静止衛星都市に到着する。
そこからさらに他の惑星へ列車を送る。月面都市にも多くの水や食べ物を送る。月面の南極と北極にも永久に解けない氷がある。22世紀、人類が再び月に来たのが、永久に影である南極だった。周囲は山岳に囲まれる暗黒の場所。
でも、徐々に宇宙飛行士が利用するようになると、わずか数十年で枯渇してしまった。有機物も含まれ生命の起源を知るきっかけになった。でも、彗星に生命の起源があれば、その生命の起源は、どこから来たのだろうか?23世紀の私たちにも謎である。
「気持ち悪い」
「徐々にスピードを落としているからね」
「上下が逆さまになったみたい」
「でも、この列車に乗るとき、天井が異様なほど高いと思った。2階たてでもあまるほどだけどね」
「でも、垂直に上昇すると、意外と狭いし」
「そう45度も傾くから」
かつて、この宇宙エレベーターを造る人たちは、厳しい人格検査を受けた。 世界各地にある、宇宙エレベーター学校に6年間通い続ける。宗教原理主義とは何だろうか?何を基準にするの。過激な思想を持った人は、宇宙に行かせないのは当然。6年間、厳重に、宇宙に夢を持った人たちの身辺を調べられた。
間接的に、宇宙エレベーター建設都市に住むだけでも、最低5年間、学校で教育を受けなければならない。そんなに厳しい審査を受けてでも、みんな宇宙に夢をもつのだろうか。
「ねえ、なんで宇宙に憧れるの」
「地球は有限じゃないの」
「宇宙は無限。いずれは、この太陽系を離れて、他の恒星系へ帰らぬ旅に行くのね」
「でも、これも何百年も先の話だし。たぶん30世紀より先にならないと」
「そうね。勉強ができなくても、宇宙学校は無試験で入れたのよ」
「でも、宇宙飛行士になるのは、ほんのひと握り」
「22世紀は、学力が低くても根性だけあれば宇宙に行けたのね」
「で、宇宙エレベーターのために一生を捧げた。私たちの世代ために」
私たちの上に、私たちが座った椅子がある。天井に椅子があるように感じる。徐々に重力が弱くなる。気持ちが悪くなる。
もうじき、静止軌道衛星都市に到着する。
作品名:宇宙列車 私の夏休み 作家名:ぽめ