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アイラブ桐生・第4部 41~43

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 資格は大学生が限定ということでしたが、
東京の美術大学をただいま休学中と詐称をして、
とりあえず面接を受けました。
心配したほどの事はなく、ろくに疑いもせずにあっさりと、午後からでも
すぐに働いてくれと言われてしまいました。
修学旅行生たちの朝食と夕食の面倒を見る、ホール担当の仕事です。
仕事は早朝から午前9時頃まで働いて、その後の昼間は、
すべてが自由時間です。
午後は、夕食の準備がはじまる午後4時過ぎからの勤務でした。
住み込み用の寮もあり、3度のまかないもついていました。



 仕事用の白い上着と蝶ネクタイを支給されてから、
宿舎へ案内をされました。
寮は本館のすぐ裏手に建てられています。
大きなまかないようの食堂と、何時でもはいれる浴場が
備えられた三階建てです。
男子たちの部屋はすべて三階で、二階に住んでいる女子従業員たちとは、
使用するエレベーターさえも別扱いになっていました。
男子用のエレベターは、一切この二階には停まりません。


 案内されたのは、二段ベッドが二つ押し込まれただけの
きわめて狭い部屋でした。
どう見ても寝るだけのスペースしかない、4人用の相部屋です。
部屋に居たのは2人だけで、どちらも京都産業大学の学生でした。
ギターを弾いていたほうは柳井と名乗り、
もう一人は津久井と自己紹介をしてくれました。
今日から一応同僚となる二人です。
よろしくと挨拶すると、俺たちも、いつまで居るかわからないが、
まぁよろしくと会釈を返してくれました。



 本館は、鉄筋の5階建てです。
ホテルの割には頑強すぎる外見のビルで、客室は全部で56室があります。
一部屋あたりの定員4人で、ほぼ200人余りの収容力をもっています。
ただし旅行シーズンともなると、連日のように
『ご法度』の状態がはじまります。
各部屋へもう一人づつ、余計に詰め込んだり、
2つある大広間にも布団を敷いて、
300人近い人数を宿泊させるように小細工をします。
消防法的には『違法』でも、安くあげたい修学旅行のためには
少々の犠牲とご法度はつきものだと、マネージャーは苦笑しながら
『良くあることだ』、と説明を付け加えてくれました。