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アイラブ桐生・第4部 41~43

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 橋本さんの運転する10トントラックは
神戸の西宮から乗った名神高速道路を、京都の手前で
わざわざ降りてくれました。
遠回りになるというのに、本人は一向に気にしない様子で
京都タワーのすぐ近くまで
狭い京都の街中を走り抜けてくれました。


 京都タワーは、京都駅烏丸中央口前にドンとそびえています。
台座のタワービルも含めると131メートルの高さを誇り、
市内では最も高い建造物です。
その姿は、市内を埋め尽くしている町屋の瓦屋根を波に見たてて、
京都の街を照らす灯台のイメージを形にしたと言われています。


 「実際のところ、俺も真近で見るのは初めてだ~」


 トラックを降りる間際に、いろいろとお世話になったので
多少ですが、旅費代わりの謝礼を申し出ました。


 「おい相棒、水臭いことを言うんじゃねぇ。
 はした金なら要らないから、そこの自動販売機でハイライトを
 2個だけ買ってくれ。
 ちょうど煙草が切れたところだ。
 余計には買うんじゃねぇぞ、荷物になるからな。
 2つだ、2個あればいい

 それが俺と岡部の分になる、ありがとうな、サンキューだ。」

 2個だけ買った煙草を手渡すと、
橋本さんが目を最大限に細くして喜んでくれました。
お互いに実家の電話番号を書いたメモを交換すると、再会を約束して、
やがて別れの時間になりました。



 「また呑もうぜ、相棒!。この先もいい旅をしろよっ。」


 助手席の窓から身を乗り出して、そう言い残した橋本さんは
この先のパーキングエリアで待っている岡部くんの
トラックと落ち合うために、
10トントラックの巨体をゆすりながら、静かな発進を始めました。
優しい性格をそのまま象徴するかのような、静かな運転ぶりで橋本さんの
10トントラックが、私の視界から序々に遠ざかります。
また、一人になってしまいました・・・・