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察人姫-第弐話-

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 職員室入口。
 昼時のため、多くの先生が弁当を開けて食事中だ。
 食堂で作られた弁当や手作り弁当、届けられたいわゆる“ほか弁”など、中身は様々。
 そんな中、約一名ほど食事には手をつけず、立たせている生徒を叱責している教師がいた。生徒指導の早坂である。
「うわぁ、懐かしいよ。昔はユーイチとあんな感じで怒られてたなぁ」
「昔って……たかが三年くらい前だろ?」
「何年前かなんて関係ないよ。高校生だった頃は卒業した瞬間から遥か昔だよ」
「そんなもんかね……で、誰にリストをもらうんだ?俺は誰が何を管理してるかなんて知らねぇぞ?」
「知ってるよ。短期のアルバイトした時に申請したことあるもん」
「誰に?」
「あそこで雷落っことしてる人」
 昼休みも半分が過ぎたというのにまだ説教を続ける早坂を指差してから、ソラと藤村は職員室の中に入り、早坂のもとへ歩いていった。





「アルバイトの申請者リスト?まぁ確かに俺が管理をしているが……少し待ってろ」
 生徒への説教を終え、現代ではほとんど見られない“げんこつ”をしてから生徒を退室させた後、訪ねてきたソラに対しパソコンのあるファイルを開き、印刷する。
「これが現在のアルバイト申請者リストだ。端のチェック欄に印があるのはすでに辞めた奴だ。調査が終わったら返せよ?個人情報だから回収してシュレッダーにかけなければならん」
「うん、ありがと」
 存外あっさりとリストを入手することができたソラと藤村は職員室から出て一旦警備室に向かう。そして警備室に入ると、そこで待っていたのは難しそうな表情で考え込む寅田と余裕の表情で将棋を指すユーイチだった。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司