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察人姫-第弐話-

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 とある喫茶店で向かい合う一組の男女。
「へえ、そんな事件があったのか」
「どの口が言うんだい?」
「なんのことやら」
 男のわざとらしいリアクションに彼女は冷たく返すが、男は特に気にした様子もなく彼女を見据える。
「で、四つの事件ってことはあと三つあるんだろ?それとも部室荒らしは事件じゃないからカウントされてないって言うのなら流石に帰らせてもらうぜ?」
「いやいや、カウントはされてるよ。今から話すのは二つ目の事件……盗撮事件についての話だ」
  帰宅部だろうか、二人の座る席から窓越しに制服を着た少年が見える。
 二人がこの店に来た正確な時間は分からないが、太陽が高い位置にあったことから、中々の時間が経ったことが分かる。
「だったら早く話せ。今すぐにでも帰りたいんだよ、こっちはな」
「そう言いながらも付き合ってくれるんだな」
「何事も中途半端は嫌いなんだよ」
 もう三杯目になるコーヒーを口に含み、男は続きを促す。
「わかったよ。それでは第二の事件だ……っと、その前に紅茶をもう一杯いただこう」
 新たに出された紅茶の香りを堪能してから、彼女は二つ目の物語を語り出す。



作品名:察人姫-第弐話- 作家名:朝朽 司