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島原あゆむ
島原あゆむ
novelistID. 27645
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【無幻真天楼 第十二回】ココロのうた

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「…ま…にあったナリ…;」
その中から聞こえた慧光の声とハラハラと舞い落ちていく蓮の花びら
砂埃が晴れていくとその場に蹲る中島、南と阿部そして金色の羽根を広げた迦楼羅といつの間にか摩訶不思議服になっていた慧光の姿が見れた
「…無事みたいだね」
矜羯羅が腕を下ろし乾闥婆に言う
「…そう…ですね…」
乾闥婆も腕を下ろし安堵の表情を作った
「緊那羅…がやったのか?」
恐る恐る頭を上げた中島が言った
「…あの緑の光りって…祭りの時のヤツと一緒…だよね?」
南がゆっくりと緊那羅を振り返った
「…今の緊那羅は緊那羅ではないといったであろう…」
迦楼羅が羽根を消して服についた砂埃を払う
「…蓮が散るほどの攻撃力が緊那羅にあるなんておかしいナリ…だって緊那羅の宝珠はまだ…」
「何度も言わせるなたわけッ!! アレは緊那羅ではないのだ!!」
慧光が言うと迦楼羅が怒鳴った
「そ…んな言い方しなくて…も…っ」
見る見る慧光の目に涙が溜まり方が小さく上下し始めると迦楼羅がギョっとした
「あーあ…なーかしたなーかしたー」
南が迦楼羅を横目で見て歌う
「なっ…;」
迦楼羅が思いっきり動揺する
「守ってもらってー泣かしてー恩を仇で返すなんてなんてひどい…」
中島もジト目で迦楼羅を見る
「……」
「…アレ?;」
その中島に続いて何か言うのかと思っていた坂田が何も言わず南が思わず坂田の顔を覗きこんだ
「…坂田…くん?;」
「いい加減にしてくれよ…なぁ…いい加減にしてくれよっ!!!!!」
怒鳴った坂田が立ち上った
「なんなんだよ!!! どうして…柴田ぁッ!!!!」
坂田の声聞いた清浄がゆっくりと坂田の方を見た
「…若…」
そう呼ばれた坂田が一瞬止まった
「すいません」
次に続いた清浄の言葉に坂田が目を大きく見開く
「な…」
坂田がぎゅっと拳を握った
「柴田として過ごした時間…大事なことに気づいた時間でした…」
本間を片手に抱き空いている方の腕を振り下ろすと袖口から巻物が出てきた
「坂田組に恥じないよう…けじめをつけさせてもらいます」
清浄が巻物の紐を解いた
清浄が紐解いた巻物が一枚から二枚、二枚から三枚…合計12枚の細長い紙となり清浄のまわりに泳ぐ
そして緊那羅は無言の表情でただ清浄を見据えていた
「やめろよ…なぁ…これアレだろ? ダーツの旅とかなんかそんなテレビの企画なんだよな? そうだろ?」
半分震えた声で坂田が笑顔を作って言った
「カメラどこだ? カメラッ…」
そういって坂田が清浄と緊那羅に背中を向けた瞬間
「使役十二支神将」
清浄の声とともに巻き起こった強風と影ができるほどの強い光り
振り返った坂田が見たもの
「いかん!!;」
迦楼羅が叫び両手を前に出すと続いて慧光と矜羯羅も同じように手を前に出した
「動くなよ京助!」
阿修羅がそう言い残し駆け出した
「あなた達も動かないでください!!」
乾闥婆が中島と南の前に立った
「…っち…」
「ちょ…やだッ!! はなし…!!!」
再び制多迦に抱えられた阿部が腕を振り上げた
「…となしくして…怪我しちゃうから…ね?」
「ッ…!!」
耳元で制多迦が言うと阿部が赤くなって腕をゆっくり降ろした
「…りがと…いいこだね」
制多迦がヘラっと笑って阿部の頭を撫でた
「…タカちゃん…阿部ちゃんも悠も同じ扱いだぁ…;;」
それを見て南が突っ込んだ